シティ・ポップの名盤「HORO/ほうろう」、クリスチャン・ミュージック、そして、細野晴臣、松本隆とともに日本ロック黎明期のロックバンド「エイプリル・フール」のボーカリストとして活躍された名ボーカリスト小坂忠さんが令和4年4月29日、亡くなられました。享年73歳でした。
昨年11月5日、6日に日本武道館で開催された「松本 隆 作詞活動50周年記念 オフィシャル・プロジェクト! 風街オデッセイ2021」の2日目に復帰後初LIVEとして出演され、「しらけちまうぜ」「流星都市」の2曲を元気に歌う姿がとても印象的でした。
【しらけちまうぜ/小坂忠】
【流星都市/小坂忠】
その後、小坂忠さんは、GS(グループ・サウンズ)末期の1968年、ザ・フローラルのボーカリストとしてデビュー。
1969年には、小坂忠(Vo)、菊池英二(G)、柳田博義(ヒロ柳田)(Key)、細野晴臣(B)、松本零(松本隆)(Ds)により結成された「エイプリル・フール/APRYLFOOL」を結成。
【APRYLFOOL 中央が小坂忠、左が松本零(松本隆)、そのとなりが細野晴臣】
日本のロック黎明期の中、ニュー・ロックを標榜し、1969年9月にアルバム「APRYL FOOL」をリリースするも、音楽的思考の違いにより、同年10月に解散。
細野晴臣、松本隆は、その後、バレンタイン・ブルー(後のはっぴいえんど)を結成しましたが、小坂忠は、ミュージカル「ヘアー」への出演が決まったため、バレンタイン・ブルーへの参加を断念。
その後、細野晴臣の協力を得て、1971年に1stソロ・アルバム「ありがとう」(ミッキー・カーティスプロデュース)をリリースし、ソロアーティストとして活動を開始しました。
アルバム「ありがとう」には、細野晴臣の他、松本隆、鈴木茂も参加、幻のバレンタイン・ブルーが結成され、ミッキー・カーティス人脈として、大野克夫(スパイダース、井上堯之バンド)も参加しています。
その後、1972年には、林立夫、松任谷正隆、後藤次利、駒沢裕城と「小坂忠とフォージョー・ハーフ」を結成。アルバム「もっともっと」(ライヴ・アルバム)をリリース、1973年には、ソロ・アルバム「はずかしそうに」をリリースしました。
そして、細野晴臣を共同プロデューサーに迎え、演奏人陣にティン・パン・アレー(林立夫、鈴木茂、松任谷正隆)、鈴木(矢野)顕子、コーラスには山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子を迎え、それまでのカントリータッチの音楽から、小坂忠の好きだったR&Bをベースにした音楽スタイルで、1975年1月にリリースされたアルバム「HORO/ほうろう」をリリース。
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SIDE A
1.ほうろう(作詞・作曲・編曲:細野晴臣)
2.機関車(作詞:小坂忠 作曲・編曲:細野晴臣)*ファースト・アルバム「ありがとう」収録カヴァー。アレンジ違い
3.ボン・ボヤージ波止場(作詞・作曲・編曲:細野晴臣・矢野誠)
4.氷雨月のスケッチ」(作詞:松本隆 作曲:鈴木茂 編曲:細野晴臣・矢野誠)*はっぴいえんどカヴァー
5.ゆうがたラブ(作詞:高叡華 作曲:小坂忠 編曲:細野晴臣)
SIDE B
1.しらけちまうぜ(作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:細野晴臣・矢野誠)
2.流星都市(作詞:松本隆 作曲:細野晴臣 編曲:細野晴臣)
3.つるべ糸(作詞・作曲:鈴木晶子 編曲:細野晴臣・矢野誠)
4.ふうらい坊(作詞・作曲・編曲:細野晴臣)*はっぴいえんどカヴァー
【ミュージシャン】
Backing Vocals – 山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子
Bass – 細野晴臣
Drums – 林立夫
Guitar – 鈴木茂
Keyboards –鈴木(矢野)晶子, 松任谷正隆
Percussion – 林立夫
Producer –小坂忠, 細野晴臣
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【ほうろう/小坂忠】
【ほうろう収録の名曲「機関車」】
「HORO」は、その後、多くのミュージシャンからも愛され、収録曲の「しらけちまうぜ」は桑名正博、東京スカパラダイスオーケストラ featuring 小沢健二、横山剣(CRAZY KEN BAND)など、多くのカヴァー・ソングも生み出されています。
そして、現在も、名盤として高い評価を得ているアルバムとなっています。
1978年からは、クリスチャン・ミュージシャンとして活動を開始、ゴスベル・シンガーとして活躍されたのち、2000年以降はポップ・フィールドにも復帰、細野晴臣とのコラボを再スタートし、コンスタントにアルバム・リリースとライヴ活動を続けていました。
2010年には、のマルチトラック・マスターテープを再編集し、ボーカルのみを再録音しアルバム「HORO 2010」をリリース。こちらも大きな話題になりました。
【ほうろう/HORO2010より】
2017年に病気発覚後は、入退院を繰り返されていましたが、2018年3月5日には「HORO」を初めてライヴでアルバム曲順に再現したライヴを開催。ライヴアルバム「HORO 2018 Special Live」として、リリースしました。
深みがあり伸びやかなボーカルがとても印象的だった小坂忠さん。
ご冥福をお祈りいたします。。。
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