本題に入る前に、ひとつ苦言を呈します。

 

このごろスマートフォンのアプリでアメブロを閲覧しようとすると、記事を2~3本読んだら突然画面全体に広告動画が掲載されるようになりました。広告主が見せたいサイトへ誘導させる押しボタンはやたら大きいのに、閉じる×印や「close」の押しボタンは目立たないところに配置されています。ある時は私が大の苦手にしている、細かい模様がぎっしりあしらわれたゲームの画面が現れ、気分が悪くなりました。アドウェアにかかったのかとも、不安にさせられます。

 

昨今の情勢を鑑みると、アメーバといえども広告を取らないと経営が苦しくなってきたのかとも察せられます。が、広告を出さざるを得ないのならば、閉じ方をわかりやすく案内するのが本当ではないでしょうか。読んでいた画面をいきなり隠し、閉じ方もこそこそと隠す形の広告は横暴という印象しか与えず、正直、愉快ではありません。

 

 

では、本題に参りましょうか。

2026年3月15日、大阪府河内長野市「ラブリーホール」(市立文化会館)で開催された「由紀さおり・岩崎宏美プレミアムコンサート」に行って参りました。京都フィルハーモニー室内合奏団、指揮中井章徳さんの演奏です。

 

このコンサートは「わが永遠の聖母(マドンナ)岩崎宏美」の記事で知りました。大阪だけの開催で、3月14日能勢町、15日河内長野市の2回公演です。定番曲しか歌わないメニューとはもちろん承知していましたが、それでもなぜかピンと来るものがありました。イープラスのサイトを見たら、能勢町の公演は完売していましたが、河内長野市はまだ余裕があると表示されていて、申し込んでみました。

 

14日は大阪以外にもかなりの長距離を旅して、少し変わった”宿”で過ごし、15日の開演時間にあわせて河内長野市へ。南海の本線(和歌山市方面)は時々乗りますが、高野線は一度しか乗ったことがなく、少し勝手が違いました。小さな駅前商業ビルから外に出ると、なだらかな上り坂。時を止めて60年、といった面持ちの古い町並みが続きます。小さな丘の上にラブリーホールがありました。

 

旅の帰りなので、一眼レフカメラを持っていました。コインロッカーも考えましたが、100円硬貨を切らせていましたし、何もかも値上がりの昨今、使わなくても構わないお金は少しでも手元に残しておきたいと、そのまま会場まで運びました。せっかくなので、会場を撮影。

 

 

 

 

 

ロビーではおなじみの親衛隊による、CDやDVDの販売が行われていました。おそらく、この中にbumimas_shochanさまがいるのでしょう、と思いました。多分あのお方かしら、とあたりはつけました。

 

 

開演時間が来て、室内合奏団のメンバーと指揮の中井さんが登壇。総勢22名編成でした。陰になってわかりづらいところもありましたが、コントラバス1台、チェロ2台、ビオラ2台、パーカッションとドラムセット。打楽器は1人で担当。オーボエ1名、ホルン2名、バイオリン7名が確認できました。あと5人いたはずですね。中央にはグランドピアノが据え付けられていて、岩崎さんの曲ではおなじみのバンマス上杉祥史さん、由紀さんの曲では川口大輔さんが演奏していました。

 

この公演は既に終了しているので、セットリストを掲載します。

 

1. 夢で逢えたら

2. ロマンス

3. すみれ色の涙

4. 美女と野獣

5. 思秋期

6. 永遠のありがとう

7. いのちの理由

8. 聖母たちのララバイ

 

(休憩)

 

9. 夢先案内人

10. 手紙

11. 恋文

12. ルームライト

13. 生きがい

14. 恋におちないように

15. 夜明けのスキャット

16. あなたにとって

 

(アンコール)

 

17. 上を向いて歩こう

 

クラシック室内楽というよりもポピュラーオーケストラ的なサウンドが演奏される中、由紀さん岩崎さん登場、拍手がひときわ大きくなると、どこかで聞いたようなフレーズが見え隠れしはじめました。あっ、もしかしてあの曲!と感づくと同時に、お二人による「夢で逢えたら」が始まりました。冒頭に大滝詠一さんの曲を選んでくださり、とても嬉しかったです。私にとっては思いがけないプレゼント、遠くから来た甲斐がありました。

 

由紀さんはターコイズブルーの衣装、岩崎さんは上半身に銀色の入った白いドレス。

「ダイヤモンドダスト色」と、すぐに連想が働きました。

私事ですが先日、上富良野で見たのです、ダイヤモンドダスト。

それはそれは、感激しました。

私が見た中では、日本で一番美しい光景です。

 

が、”ダイヤモンドダスト”という言葉は長いですし、音韻的にはかなり重い印象を与えるので、さすがの松本隆さんでも詞にできない色でしょうと、くだらないことを考えています。

 

音楽の話に戻りましょう。

実をいうと、岩崎さんに関しては少なからず心配していました。

年末の「紅白歌合戦」に続いて、2026年2月に放送された「うたコン 阿久悠特集」でも、精彩を欠いた歌いぶりだったのです。声が思うように出ていない様子でした。普段の岩崎さんを見る機会のない視聴者に

 

「岩崎宏美、さすがに老けたねえ。」

 

と言われてしまいかねない、と危惧していました。70歳までは何とか持ちこたえてほしいのですが。

しかしこの日は、優しい先輩が見守ってくれるからでしょうか、声の安定感を取り戻していました。サビでなるべく声が裏返り気味にならないよう、細かいところまで工夫なされていると伝わってきました。

 

MCでは既に幾度も伺ったエピソードをお話されていましたが、「ファミリーヒストリー」でお父さまの写真と人生の歩みを見て、受け止め方がだいぶ変わりました。お父さまは三姉妹にとって「ラスボス」的な役目を全うした方と思っていただけに。

 

岩崎さんは、良美さんともオーケストラアレンジのコンサートを開いています。そちらの楽団はクラシック的な味わいが濃い演奏でしたが、今回の京都フィルハーモニー室内合奏団は前述した通り、ポピュラーオーケストラ・イージーリスニング系風味を前面に出していて、より親しみやすい印象でした。一方「思秋期」の間奏で、三木たかしさんが書いた印象的なメロディーを外して独自のアレンジを加えるなど、楽団のオリジナリティを出そうともしていた様子でした。クラシック界の人たちでも、ポップス系の演奏を頼まれた際にどう臨むかは、結構大きなテーマになっているのでしょうか。

 

第2部では、お二人ともお召し替え。由紀さんは真っ赤なドレスで登場しました。

オーケストラの演奏が始まった途端、再び感激しました。「夢先案内人」です。

由紀さんが選曲したとのこと。

岩崎さんは「秋桜」はじめ、山口百恵さんのレパートリーをこれまで数多く歌ってきましたが、この曲は聞いた覚えがありません。とても嬉しいプレゼントでした。歌い終えた岩崎さん曰く

 

「もし、私がひとりでこの曲を歌うのならば、結構男っぽく歌っていたと思いますけれど、由紀さおりさんがご一緒なので、おとなしく優しい歌い方になって…」

 

ここで、近年岩崎さんが「二人会」の形で共演コンサートを開いた際の顔ぶれを、改めて思い起こしました。

良美さん、八神純子さん、国府弘子さん、野口五郎さん、ASKAさん…

先輩もいらっしゃいますが、いずれも岩崎さんとは気心知れた仲で、岩崎さんがイニシアチブを取れる場面がたっぷりありました。良美さんは遠慮しているのか、自分の数あるヒット曲を姉の前であまり披露したがりません。

対して由紀さおりさんは正真正銘の「先輩」で、目標でもある方。自ずと姿勢がかしこまるのでしょう。由紀さんは岩崎さんのことを「お嬢さま」と呼んでいましたし。

 

アンコールの際の挨拶でも

 

「私は普段、ステージでも結構乱暴な言葉づかいをすることが多いのですけれど、今日は自然とおしとやかになって…こんな自分もあるんだと気づきました。」

 

とお話されていました。

 

話を戻して。

続いての「手紙」は今でも懐かしく思い出す曲。初めて生で聞けました。

由紀さおりさんはMCで、歌を始めたいきさつをお話していました。

姉の安田祥子さんが先生について歌を習いはじめた頃、レッスンについていきたくなり、安田さんはそんな妹の様子を見て「章子ちゃんも来る?」と誘ったといいます。その頃はまだ幼くて、姉と一緒のクラスには入れなかったが、「記憶力だけはよかったのでしょうね、家に帰るといつもお姉ちゃんが習った曲を歌っていた、そうです。」

 

しかし声楽家を目指す姉と同じ道に進んでしまうと、どうしてもかなわない。それで歌謡曲の世界に行こうと決めたといいます。このごろYou tubeに、由紀さおりさんがデビュー前にたくさんレコーディングしたCMソングを紹介する動画が上げられています。はじめのほうは子どもの声だったのが、次第におなじみの歌声に変わっていき…そんなところも、決断の後押しになったのではないかと拝察しました。

 

吉田拓郎さんからデモテープだけを渡されて、譜面に起こしてもらったら16分音符がたくさん並んでいて、「譜面で覚えないほうがいい音楽もある」と悟った話、「生きがい」はたくさんの人がカバーしていて、良美さんも歌ってくれたという話もしていました。良美さんとは以前から仲良くしていて、フランス語で歌う必要が生じた際、良美さんに教室を紹介してもらったとか。

 

「良美ちゃんは、お姉さんには話せないようなことまでも、私にはたくさんお話してくれて…」

 

良美さんにとって、由紀さんは”才能があふれすぎる姉を持つ妹”という立場の先輩にあたると、改めて思いが及びました。お母さまとはあまり折り合いがよくなかったとも聞いていますし、存分に甘えられる人なのでしょう。再び話が横道にそれますが、「ファミリーヒストリー」の取材で判明した縁をもとに、奄美大島に岩崎さんを呼びたいという話が今後具体化しても、良美さんは遠慮するかもね、と思っています。

 

由紀さおりさんはさらに、いずみ たく先生の楽曲を歌ったピンキーとキラーズ、佐良直美さんらとともに、いずみ先生書き下ろしのミュージカルの舞台に出た思い出もお話していました。先生には、日本の歌謡界にもミュージカルを定着させたいという願望があったのでしょう。現実はロックンロールやR&B系の音が、デジタル技術の発展を追い風に歌謡曲の後継となり、ミュージカルはまた別のフィールドで発展していきました。

 

アンジェラ・アキさんが書き下ろしたという「あなたにとって」のコーラスをお客さんに手伝わせて、本編終了。コーラス無茶振りは「あざやかな場面」で慣れています。

 

安田祥子さんは85歳で、今でもお元気とのこと。由紀さおりさんは今年11月の誕生日で80歳になるといいます。北山修さんと同じ年ですね。岩崎さんにとっても、70歳前の段階で衰えるわけにはいかないと、刺激をもらったように思えました。もっともこれからは気候変動、大規模災害、政治・経済・国際情勢、「新しい戦前」など、本人の努力や心がけでは如何ともしがたいファクターが増えていく一方なのが心配です。

 

アンコールが終わると撮影タイム。どこのコンサートでも、開演中はスマートフォンの電源を切るように指導されますし、端末を起動している間にタイミングを逸してしまいます。遠くの座席に当たることが多いので、きれいに写せません。しかしこの日はそこそこ近い席で、なおかつ旅先で撮影した一眼レフカメラが手元にあるので、少しはましに写せるかしらと、カメラを向けてみました。