予備試験では、法律科目7科目と法律実務基礎科目の他に、一般教養科目も試験科目となっていますが、一般教養科目については、短答・論文どちらも、過去問数年分を解く位で、それ以外の対策をしない(法律系科目を優先する)ことが、予備試験対策としては一番効率が良いのではないかと考えています。
まず、一般教養科目の短答試験ですが、社会科学・人文科学・自然科学・英語の4分野から、問題を見た上で、自分で回答する問題を選択できるので、試験会場の場で、自分の解ける問題を見つけ出すことが重要です。
私は自然科学・英語は諦めていたので、ほとんど社会科学・人文科学からしか得点できませんでしたが、過去問を数年分解いたところ、どの年度でも概ね30点は確保することができましたし、20点を下回ることはないだろうなという感触でした。
TACの中村充講師の「やはり出題者は、テクニック(≒日本語力)を使って解くルートも設定しているとしか思えない」との感想には私も同意見です。
ですので、一般教養科目の短答は、過去問を数年分解くことで、試験本番で自分が解ける問題を見つける方法を体感しておくことが大事だと思います。そうして一般教養科目で20点位を確保できるようにしておけば、後は法律科目の短答過去問をぐるぐる回した方が、短答の得点はあがりやすいし、短答の合格をより確実にできると思います。
次に一般教養科目の論文ですが、短答対策以上に、論文は法律科目の対策で精一杯で、一般教養科目まで手が回らないまま本番を迎える受験生が多いと思いますし、私も、そうでした。
ただ、一般教養科目の論文は、短答と違って、大学受験の現代国語やロースクール入試の小論文試験で問われるようなジャンルから出題されますから、私は、以下の本を読んで、評論文によく出る用語に慣れておく、という対策を取りました。元々読書が好きだったので、法律科目の勉強の息抜きとして読んでました。
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教養としてのロースクール小論文〈上〉自己責任と資本制
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教養としてのロースクール小論文〈下〉正義と実力と「世間」
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教養としての大学受験国語 (ちくま新書)
972円
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『教養としてのロースクール小論文』は、品切れでプレミアがついていますが、(一般教養科目の対策本としては)何回も読む類のものではないので、図書館で探してみるか、なければ他の、大学・ロースクール受験や公務員試験用の現代国語・小論文の問題集で、評論文に慣れておくのでも問題ないと思います。(可能であれば、この本の一読をお勧めします)
論文対策は、予備試験合格後(司法試験)のことを考えても、法律科目の対策を優先するべきですし、法律科目の論文対策として、具体的に問題を検討し、要点を捉えた論文を書く訓練をしていれば、それが一般教養試験の論文対策にもつながるので、それで十分なのではないかと思います。
予備試験の受験対策として語りたいことは以上です。
ここからは先は受験対策から離れた話なのですが、私は一般教養科目で安定して得点を取ることができました(予備試験を2回受験して、短答は30~40点、論文は2回ともA評価でした)。その理由の一つは、大学生の頃に、一定量の読書をしていたことが原因ではないかと思ってます。
大学時代は、なんとなく思い立ち、1学年の間に100冊の本を読むという目標を立てていて、法律の本の他に、文庫・新書を中心に、社会科学(政治学や社会学)や人文科学(哲学・歴史学・心理学など)の入門書、会計・投資関係のビジネス書、自然科学の一般向けの解説書、外国の近代古典小説、現代のベストセラー小説やライトノベルなどを中心に、結局4年間で500冊くらい読みました。
読書家の方にはもっと沢山の本を読む人は大勢いますが、一定の期間に大量の文章を読んだ経験が、働きながらの受験でも予備試験・司法試験に合格することができた素地を作ったのではないかと感じています。
日中に仕事がある社会人の方は、予備試験の勉強に加えて読書の時間をとる余裕は難しいと思います(私も司法試験に受かるまでは読書量をかなり制限していました)が、もし学生の方で、この記事を読んでいる方がいたら、予備試験・司法試験の受験対策とは切り離して、年100冊とはいかないまでも、文庫・新書を年50冊(だいたい1週間に1冊)読む位の時間は読書に充てても、長い人生を考えたら損ではないのかなと思っています。
(こんなことを書かなくてもそれ位の読書をしてる人は多いのかもしれませんが、私は大学に入学するまでほとんど読書をしていなかったので、あえて書きました。)
本を1冊読むといっても、ハードカバーの600ページの本もあれば200ページの文庫本もありますし、最近は電子書籍が普及し、フォントのサイズによってページ数まで変わる時代ですから、冊数にとらわれず、色々なジャンルを開拓するつもりで読書を続けていけば、きっと数年後には、読書をしていてよかったと思える瞬間が来ると思います。