マルボロ | アメブローク

アメブローク

★降り止まない雨はにゃい★
~僕の日常・旅行・ファッションのことなど綴っていきます~

そう彼は そっと僕の腕の中で...

 

 


『マルボロ』
~POCHIMARU~


彼が僕の家にやって来たのは

16年前

当時 僕はまだ10代だった

そして 10代の僕が当時 日本の法律を犯して

吸っていたタバコは

KOOL

マルボロじゃない 笑



今 僕が共に生活をしている家族は3人

母 弟 僕

僕の父親が目を落として今年で16年になる

先月17回忌を迎えた

16年前の5月 僕の祖父がこの世を去った

そして 彼のお葬式の準備をしている時に

僕の父親が倒れた

そう お葬式は親子並んでしたんだ



5人だった僕の家族は

あの日から3人になった



そんな中 2人の幼い学生を傍らに途方にくれる

母親のもとにやって来た

生まれたばかりの小さな小さな無邪気な彼



今でも鮮明に覚えてる

そして 僕が彼の名前をつけるまでにかかったのは1ヶ月



母親にも弟にも その意味を話してなかった

そして 今日はじめて語った



マルボロ



どのくらいの時が経ったころだろう

家族が親戚が友達が

彼のことを”まる”と呼ぶようになったのは



僕がそう呼ぶようになった日も

またはっきりと脳裏をかすめる

そう父の7回忌を迎えてから

僕はそれまで”マルボロ”と呼んでいた彼を

”まる”と呼ぶことにしたんだ



2人の家族を失って”ボロボロ”だった僕たち

いつの日か時が流れて

その流した涙が色を変えて

すべてが”まるく”おさまって欲しい

そんな幼き僕の切なる願い

そして それを感じることが出来る日が訪れたら

こう呼ぼうと



”まる”



母は7回忌の法事の前夜

僕にこんなことを語ってくれた



”私は 絶対あなたたちの前では涙は見せないと誓って

これまで頑張ってきた

でも

悲しくて悲しくて

辛くて辛くて

流した涙はたくさんあった

悲しい涙を流すとき 悔しい涙を流すとき

声を殺そうと歯を食いしばっても

声が漏れちゃうんだ

だから 私はあなたたちに気付かれないように

お風呂場に行ってシャワーの水を

めいいっぱいだして 泣いてたんだよ

あなたたちが学校に行ってる間

外の犬小屋に行って

まるちゃんと一緒にご飯を食べてたんだよ

まるちゃんの声は私の涙の声をかき消してくれたんだよ”



そう 母親にとって彼の存在はかけがえのないものだった

そして

僕と弟にとっても

数えきれない程 今日僕たち家族が流した涙の数じゃ

全然足りないくらいの

たくさんの抱えきれないほどの

温かい世界がそこにはあったんだ



彼を僕たち家族の元に委ねてくれた

あの素敵な人

本当にお世話になり続けたその人も

今年 人生の幕を下ろした

まだまだ教えて頂きたかった

温かくて優しくて

決して色褪せることのないタイセツなものを



僕はまたひとつ大切なものを失ってしまった

でも

涙が溢れるくらい

温かいものも今日たったひとつだけ見つけたんだ



陽が登ろうとしている

少しの間 僕は瞳を閉じれば

また今日も何か見つけられるかな!?



つづく



 
  
TFR