浜崎あゆみとバンドについて | ラフラフ日記

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この記事で浜崎あゆみの TROUBLE TOUR を振り返ったときに、「このツアーからダンサーに新メンバーが加わった」(正確には同年の a-nation 2018 から)と書いたが、「このツアーからバンドがいなくなった」という重要なことを書きそびれていた。(a-nation 2018 にバンドはいた)

もっとも、「バンドがいなくなった」のはこのときがはじめてではない。確かにツアー全体でいなかったのはこれが初だが、その前の Just the beginning ツアーの第2章(2017年9月~)からいなかった(第1章にはいた)。そこから「バンド不在」の印象が強かったので、TROUBLE TOUR からという感じがしなかったのだ。

さらに遡れば、2016年の TAツアー(ファンクラブ限定ツアー)から「バンド不在」を感じさせるライブではあった。バンドはいるにはいるが、ライブ中盤のアコースティックのようなコーナーのみの出演だった。

とにかく、あるときから一気にバンドはいなくなったのではなく、前述したように 2017年の Just the beginning ツアー第1章ではいたし、バンドのいない第3章でも 2017年大晦日のみバンドも出演した。次の 20周年の POWER of MUSIC ツアーはバンドありで、そして、TROUBLE TOUR からいなくなった。が、それでも、2018年の大晦日のみバンドも出演した。

このように、いきなりバンドはいなくなったわけではなく、徐々に段階を経ていなくなった。そして、2018年の大晦日を最後にバンドは出演していない。

(決定的だったのは、2019年4月の POWER of A^3 にバンドがいなかったことだろう。それで、バンドがいないことは一時的なことではないのだと思った)

 

ここで「バンド」と言ってるのは、ギター、ベース、キーボード、ドラムのこと。


バンドがいなくなった後も、ストリングスやホーン、和太鼓などの楽器が出演することはあった。

また、テレビの歌番組では「バンド」と一緒に出演することもあった。

浜崎あゆみのバンドメンバーは、

ギター:野村義男
ベース:斉藤光隆
キーボード:友成好宏、宮崎裕介
ドラム:浜崎大地


違う人が弾くときもあるけど、大体はこのメンバーだと思う。
以前は、ベースはエンリケ、キーボードは小林信吾、ドラムは江口信夫だったこともある。
(オイオイ、アナタがよく言う玉田豊夢はどうした?と思われるかも知れないが、それはレコーディングの話です)

「バンドがいなくなった」ことは個人的に大ショックで、いやそれはもう個人的などではなく、ファンの人の大体は、というか特にファンじゃなくても、「浜崎あゆみはバンドで歌う方が良い」と思っているに違いない…と私は思っている。そのあたりのことは以下の記事でも書いたつもりだ。
 

 

“浜崎あゆみのライブの魅力であり醍醐味は、なんといってもバンドの生演奏で浜崎あゆみが歌うこと”
“生演奏であることが、つまり、機械による自動演奏でないことが、浜崎あゆみのライブにおける矜持でありプライド”
“それはそのまま、浜崎あゆみの音楽の魅力にもつながっている”

(バンドで歌うって当たり前じゃんって思うかもだけど、浜崎あゆみがバンドでライブするっていうと驚く人もいるし、2000年当時、あゆみたいな立ち位置(?)の人では珍しかったかもよ。ちなみに最初のツアーはバンドなしです)

けどね、バンドで歌うあゆが好き!とか言いながら、前からぼんやり思っていたことを、考えないようにしてきたことを、例えば、『ギター・マガジン 2019年11月号』の「J-POP 黄金伝説 Vol.1 ~歌姫編~ 1995-2001」によって突き付けられるわけだよ。

 

ギター・マガジン 2019年 11月号 (特集:J-POP歌姫編)

 

そこに野村義男とマーティー・フリードマンの対談があって、浜崎あゆみのライブの話になる。

 

マーティー:ライブではほかにもギタリストがいるんですか?

野村:僕ひとりだけだから、弾くのはリズムだけ。ソロは音源で流しちゃうの。

 

「ソロは音源で流しちゃう」

 

考えてみれば、いや、考えなくても、あゆのライブでの音、どう考えてもギタリスト1人の音じゃないよね? 例えば、エレカシだってサポート入れてギター3人いるんだよ? それであの音が実現できるわけだから。それでギタリスト1人って、あゆのライブ観て(聴いて)みればわかるけど、物理的に無理だよね?(※1)

(※1:「自分(野村)ではエフェクターを踏めなくて、音色はステージ袖でギター・テックが変えている」という)

リズム・ギターと同じ音量で弾くとソロの音が大きくなってしまうから、だからソロは音源を流すと野村義男は言っていた。

対談を読むと、浜崎あゆみの音楽のギターへのこだわりは強いことがわかって(※2)、それはとても嬉しかったんだけど、ライブで「ソロは音源を流している」というのはちょっとショックだった(ソロを弾く時もあるとは言っていた)。

(※2:でも、それをライブで表現するなら、ギタリスト3人くらいいるんじゃない?みたいな。よっちゃんもライブを観に来たアレンジャーに「あれを1人で演奏するんですか……?」と驚かれたらしい)

でも、本当はとっくに気付いていたはずだよね。どう考えてもギタリスト1人の音ではないし、バンドの音だけではないことを。
浜崎あゆみのライブでのバンドは、バンドであってバンドではないことを…。

そんなこと言ったら、あゆ以外にもそういう形はあるし、エレカシだって音源を取り入れたりはしてるよね? でも、「バンドで歌うあゆが好き!」とか言いながら、私はどこかジレンマを感じていたはずなんだよ。バンドって言ったって、エレファントカシマシやチャラン・ポ・ランタンとかとは違う。

だから私は、ショックだけど、あゆが「バンドなしでライブをする」ことは良いことなんじゃないかと思えてきた。

いっそ潔いっていうか、誤魔化しがなくなったという意味で。

今までが誤魔化してたというわけじゃないけど、それによってはっきりしてくることもあるんじゃないか。

つまりそれは、浜崎あゆみにとって「バンド」とは何かということ。

浜崎あゆみにとって「バンド」は必要か? 必要なら、「バンド」のどんな音が必要か?


今まで見ないようにしてきたことと向き合うことによって、そういうことが見えてくるんじゃないか。

 

バンドがいなくなってからも、ライブ用の音源のためにバンドでレコーディングしたというから、そういうところから見えてくるものもあるかも。

 

バンドが良い!って言うのは簡単なんだよ。

けど、バンドは音源を再現するためにいるのか?

なら、バンドがいる必要は?

あなたは本当にバンドを聴いていた?

 

そして私はやっぱり、浜崎あゆみは確かにギターの音を、バンドの音を必要としていると、ここ何年間かで思った。

 

以下のようなことを考えたりもした。

 

 

それで、バンドメンバーは誰が良いかってことだけど…

そりゃもちろん、浜崎あゆみのギター = よっちゃん(野村義男)というイメージは強い。

(音源までよっちゃんと思ってる人いそうだし ← 音源は違う)

よっちゃんがずっとギター弾いてくれたら・・・って私も思う。

でも私はそこをあえて、誰でも良いとは言わないけれど、「浜崎あゆみの最高の音を出す」というのであれば、決まった人じゃなくても良いのではないかと考えてみる。

いやだってさ、浜崎あゆみはバンドではないし、ソロ歌手なんだから、そこが強みでもあるわけじゃん。

それに、よっちゃんはやっぱり、浜崎あゆみよりも曾我泰久とか田村直美とかそういう人たちの方がホームなのかなぁとかも思ったりしちゃうわけよ。世良公則とかさ。エンリケさんもしかり。スケジュール的なことももちろんあるだろうしね。

 

よっちゃんにしろ誰にしろ、まさかこんなに長く浜崎あゆみがやるとは思ってなかったのかも知れないよね。

 

それはつまり、そういうところまで浜崎あゆみが来たってことだと思うんだよ。そういうところっていうのは、そういうことを考えるところまで? 遅すぎるくらい。って浜崎あゆみはとっくに常に考えてるだろうけど。

 

や、わかんないけどね。

この先あゆがまたバンドとライブするかどうかも。

打ち込みが合う曲や表現もあるだろうし。技術的なこととか。

 

上記ブログで書いた通り、浜崎あゆみがバンドの音を必要としていることを実感しながら、それと矛盾するようだけど、バンドがいなくても浜崎あゆみが歌えば何かがあるということを実感する数年間でもあったから。それもバンドがいないことで発見できたことかもね。(←書きながら、これ、宮本とエレカシみたいじゃんって思ってしまった。エレカシファンの方でこんなところまで記事読んでくれる人いるのかって感じだけど)

 

でも、この前の YouTube生配信 であゆが言ったんだよ。

 

「バンド良いよね」

 

って。

この一言が聞けただけで私は嬉しいよ。