2019年1月18日(金) 日本武道館
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16日に続いて、武道館二日目に行ってきた。武道館二日目にして、エレファントカシマシ新春ライブ 2019 の最終日である。
いきなり前回書いたことを覆すようだけど、
バンドサウンド最強!
ってなった。何これ。こんな爆音をコントロールできるバンド他にいる? 世界中見渡しても? って思った。
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まず、会場に入って開演前にかかってる音楽。
アウスゲイル、ベック、ジェイムス・ブレイク、ザ・シネマティック・オーケストラ、、、、、、
開演前にかかる音楽なんて、所詮はただの「開演前にかかる音楽」なのだけれど、私は早くもここに宮本浩次の意志を感じてしまった。
「俺はこういう音楽をやりたいんだよ!」
どれもがバンドの音楽ではなかった。(アラバマ・シェイクスもかかった気がするが…)
なんて欲張りなんだ!って思った。ジェイムス・ブレイクのようなことがやりたいながら、ローリング・ストーンズのようなことがやりたいんだから。バカだよミヤジ、バカ。でも、見てみたい。
“欲張りな愚か者に幸あれ”
数日前、友達と「宮本さんは頭が良くてバカ。最高だよ!大好き!」なんて話をしていた。(失礼な話だよ本当)
16日は開演時間すぐにはじまったんだけど時間は確認してなくて。いくらすぐと言っても2~3分は過ぎていただろうと思いながら、まさかと思って武道館のデジタル表示の時刻を凝視していた。
18:29
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18:30
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18:31、、、にはならずに、本当に 18:30 にはじまった! なんてかっこいいんだ!
ライブは上記の “欲張りな愚か者に幸あれ” の歌詞が出てくる「脱コミュニケーション」ではじまった。
16日のライブで、「大地のシンフォニー」「絆」「風に吹かれて」「マボロシ」「風」に感動して、それを楽しみにしている自分がいた。16日は、もうこの曲やらないんじゃないか?ってくらい久しぶりに聴いた「ワインディングロード」からスイッチが入ったように思えた。
しかし、この日は、そんな私を嘲笑うかのように、バンドサウンドがかっこよかった! いやもう、かっこよかったなんてもんじゃない。なんだろう。どの曲がって書こうとしたけど、もうすべての曲で。バラードだろうがストリングスが入ろうがとにかくバンドがかっこよかった。私はずっと圧倒されていた。
16日はアリーナでこの日は二階席後方立見だったので、バンドや全体が見えたからなのもあったと思う。ある方のブログを読んで聞いていた宮本が一人飛び出た配置というのも確認できた。
エレファントカシマシここにあり!とばかりに叩きつけられるバンドの音に、私は、叩きつけなければ、これを私の体に叩きつけなければ、このエレファントカシマシの音を。って必死にしがみついていた。
まるで解散ライブのように。
この音を自分の体に刻み込まなければ。
しかし時おり、「はじめての僕デス」まで遡ってしまうほどの宮本浩次の声。子供のようで。生まれたばかりの歌手・宮本浩次の産声? 幼いような、これからまだ見ぬ世界に向かって震えている。(「はじめての僕デス」というのは、1976年に NHK『みんなのうた』で放送された曲で、当時 10歳の宮本浩次が歌っている)
しかしまた、かっこいいバンドサウンド。
何だこれ。エレファントカシマシ最高じゃないか!最強!
ストリングスがこんな風に聴こえるなんてないし、こんな爆音をコントロールできるバンド他にいる?
でも、当たり前じゃないか。エレファントカシマシだよ? 誰がやってきたと思ってるんだ。宮本が中途半端なことをやるわけがないだろう?
ロッキングオンジャパン 2月号のインタビューで宮本は「自分だけで作っちゃってるものとバンドのものと、ごっちゃにしたくない」「だから分ける」というように言っていた。だから今回の新春ライブは、これからソロはやるとしても、エレカシはエレカシと明確に分けた「エレファントカシマシのライブ」をするのだと思っていた。
けれど 16日、はじまってみたら違った。宮本浩次ソロへの意志がはっきりと示されたライブだった。
私はそのことに驚いたし、そして嬉しかったんだと思う。エレカシのライブだからといってエレカシを演じない、嘘偽りのない今現在のエレファントカシマシの姿であり、そこにおける宮本浩次の姿であった。
これからはどういう形になるかわからない。わからないけれども、今ここに嘘偽りのない表現があった。
たとえそこに引き裂かれるような思いが去来したとしても、それが生きる喜び、つまり、エレファントカシマシであり宮本浩次が鳴らす音楽なんじゃないかって。
そして 18日は、宮本ソロへの意志を、宮本だけでなく、エレファントカシマシで全力で表現していたことに気が付く。
しかし、しかしだ。
このかっこいいバンドサウンド。
ねぇこれ、宮本またバンドやりたくなっちゃうんじゃないの?って。
エレカシは、ソロへと向かう宮本浩次を最後の最後に引き止めた。
宮本の裾を掴んだ。
あの宮本浩次をだよ?
あの宮本浩次がエレファントカシマシに引っ張られていた。
宮本に負けじとドラムを叩く冨永のドラムロールに宮本の裾が引きずり込まれるー!
でも、エレファントカシマシを誰がここまでにしたのかっていったら、もちろん4人だけど、宮本浩次なんだよ。ミヤジが、自分が作り出したエレファントカシマシっていう物凄いバンドに引き止められているんだよ。
でも、
引き止めているのと同時に、思いっきり背中を押していた。
なんだ宮本。行ってこーい!みたいな気持ちになっちゃった。
もうわけわかんないよ。引き止めながら、力一杯背中を押していた。
エレカシを演じなかったと書いたけれど、むしろ 30周年イヤーのときこそ “演者” としてのエレファントカシマシだったのかも知れない。
今エレカシは、エレファントカシマシを演じるのをやめて、本当のエレファントカシマシになった!
って思っちゃったな。
なんてこった!これからソロに向かうってのに、最後の最後に、本当のエレファントカシマシになったと思っちゃうなんて!
本編最後は「悪魔メフィスト」だった。
バンド幻想を崩壊させる――そう宮本が言っていた曲だ。
そして、アンコール? 第2部?
それからはもうね、わけわからなくなっちゃった。
なんてかっこいいんだエレファントカシマシ!
宮本浩次へのはなむけかこれは?
いや、ねぇ、言っちゃっていい?
みんなで、みんなで作り上げたんだよ?
祝福されるんじゃなくて祝福しに行く。ツアーでも野音でも祝福されているとは思ってなくて、みんなを祝福しに行ってるつもりと宮本は言っていた。でもこの日は、一瞬であったとしても、祝福されているって感じなかっただろうか。
みんなで、今まで見たこともないようなでっかい花道を作った。
そこにいた誰もがみんな、祝福されていた。
「旅立ちの朝」での胸が焼けるような想い。
そして、
「風と共に」
もう、全部、全部だった。
最後は「ファイティングマン」。
実はあまり記憶がない。
でもこれはきっと、明日への記憶だ。