超歌手大森靖子 MUTEKI弾語りツアー | ラフラフ日記

ラフラフ日記

主に音楽について書いてます。

2018年1月19日、小室哲哉が引退を表明した。

小室哲哉は現在 59歳で、私はエレカシ宮本(51歳)のインタビューを思い出していた。

エレカシ宮本が見すえる「紅白の先」 スピッツ、ミスチルとの競演へたぎる思い
https://ex.yahoo.co.jp/buzzfeedjapan/ashitano-interview/2.html

「30代で愛する人のための命だと知って、50代でやっぱり俺のための人生だってことに気がついた。諦めることも、何だよと思うこともいっぱいあるけど、ちょっとワガママに生きてみたいなって」

「誰の言葉か知らないんだけど、40代は若者の老人時代で、50代は老人の青春時代なんだって」

「61歳に向けた10年間の大事な一歩なんで、欲張って、ワガママに音楽をやっていきたいですね」


エレカシの「俺たちの明日」に、10~30代を歌った印象的な歌詞がある。

“10代 憎しみと愛入り交じった目で世間を罵り
 20代 悲しみを知って 目を背けたくって 町を彷徨い歩き
 30代 愛する人のためのこの命だってことに あぁ 気付いたな”

(エレファントカシマシ「俺たちの明日」)

そして、30代で愛する人のための命だと知り、40代でそれを実践し、それまでの自分を受け入れて、50代でやっぱり自分のための人生だってことに気がついたという。

30代で「愛する人のための命」だと知った宮本さんが、50代で「自分のための人生」だと気がついたことはとても大きいんじゃないか。

小室さんももっとワガママに生きられたら良かったのかなぁ。いや、それはわからないし、もしそうなら、これからそうなれれば良いわけで。

「愛する人のための命」を経てからの「自分のための人生」。

愛する人も、自分自身も、そうなれてたら良いな。

小室哲哉の引退に対して、「あんたがそんなこと言うなよ!」という声、「ゆっくり休んでください。」という声、どちらも聞いたし、私の中にもどちらもある。それらは矛盾し合っているけど、どちらもある。でも、

“心を一つなんて ふぁっく YOU”
(大森靖子「ドグマ・マグマ」)

大森靖子 超歌手大森靖子 MUTEKI弾語りツアー
2018年1月20日(土) 中野サンプラザ


小室哲哉引退の報せを聞いた翌日、大森靖子のライブに行く。



彼女もやり切れない思いをしているであろうに、「安心して来い」だなんて頼もしいね。
やっぱり音楽があれば大森靖子は MUTEKI なのかな。



チャランポに続き、またバナナマンから花が来てる!
(もちろん、松浦さんからも来てたし、チャランポも松浦さんから来てたからね)

大森靖子弾語りライブ。

凄かった。

暗闇の中からはじまったステージ。ステージの周りにある椅子のようなもの。あれは譜面台だったらしい。楽譜のない譜面台。
ひとりきりのライブなのに、オーケストラがいるかのように譜面台が置かれている。でも、演奏者もいないし楽譜もない。それは、ここにいる人や、ここにいない人さえも含んだ、数多の魂が奏でる音楽との共演なのかも知れない。それを大森靖子が奏でていくのかも知れない。

そして、蝋燭のような星のような光がいくつも灯って、幻想的なんだけれど、自分の内部から出てきた宇宙のような空間が広がっていた。

そして、忘れられないのは。

ある曲の終わりに、大森靖子がそのままピアノ弾き語りで、唐突に「でっきるかな…でっきるかな…」と小さくつぶやくように歌いだした。その可愛さに私は思わずふふふと笑ってしまったのだけど、次の瞬間、ピアノの音から、もしかして…と瞬時に理解し息を呑んだ。

そして私はあの歌いだしを待った。とても長く感じたように思う。

“カリスマ全滅”

「PISITIVE STRESS」だ。小室哲哉作曲、大森靖子作詞、大森靖子が初めて小室哲哉とコラボした曲。

私はライブで聴いたことがないし、おそらく大森靖子もはじめてライブで歌うのではないだろうか。(後に MC ではじめてライブで歌ったことが明かされた)

そこからの、大森靖子の気迫の歌唱、演奏。怒り、祈り、浄化、昇華。どんな言葉でも語り尽くせない。

そして、大森靖子を通して、私の中の小室哲哉の音楽が体中を駆けめぐる。決定的瞬間だった。

一音一音が、言葉の一つ一つが・・・。

“心を使いきる 私は私よ”

こんな風に大森靖子が自分を宣言してくれたことがあっただろうか。いつも大森靖子は “私” ではなく、“人” を歌ってきた印象があったから。

この曲が終わったら拍手したい! 私は思った。
それまで一曲目からずうっと続けて演奏されてるため一度も拍手できないでいた。

しかし、「POSITIVE STRESS」が終わると、拍手する間もなく大森靖子は歌いだした。

“穢れさえ武器に”

「オリオン座」だ。

曲の途中で、大森靖子はピアノからギターに持ち替え、ステージにいくつもの星が光った。

忘れられない夜だよ。

3曲までだったか、動画を撮ることが許されていたが、撮影なんて出来なかった。
でも、やっぱり、するべきだったのかな、、、ううむ。

「POSITIVE STRESS」は、小室さんとの曲ということで気合い入れて歌詞を書いたけど、なんにも考えないで最後にぽんと出てきた “私は私よ” を、「これは僕には書けない」と小室さんは言ってくれたらしくて、嬉しかったと靖子ちゃんが話してくれた。

「オリオン座」は、ミヤジが「良かったよー!」って言った曲だよ。

今は SNS などで「いいね!」があるけど、100「いいね!」があったら 100通りの「いいね!」があるはずで、それが全部「いいね!」にまとめられてしまうというような話が良かった。だから道重さんに「いいね!」がなかなか出来ないって(笑)。

ああ、今はなんでも「いいね!」にまとめられてしまいがちなのかも知れない。
そして私は、そうではない音楽が聴きたいんだなあきっと。
いや、「いいね!」も良いんだけどね。

青柳カヲルさんに描いてもらったという魔法陣も出てきた。

「青柳に魔法陣を描いてもらいました」という大森靖子の MC にぐっときた。