言いたいの
「かっこいいね」と。
貴方を褒められると嬉しくなってしまう。
でも。
でもね。
「かっこいいだけじゃないんだよ」って。
本当は貴方の内面を言いたいの。
優しくて、努力家で、弱っている所を決して見せず。
だけど、鈍感で、気遣いが下手で、ちょっと古臭い趣向。
そして、最後に。
「全部ひっくるめて彼が大好き」って。
言いたいの。
言えばいいのにね。
軽く考えて、ノリで言っちゃえばいいのにね。
でもね、言えない。
貴方を全部知っているわけじゃないのに。
貴方の側にいるわけでもないのに。
貴方を褒めた人と立場は変わらないのに。
彼女でもないのに。
言えないよ。
短い時間
交わした言葉はほんの僅かで。
時間にすれば、1分あるかないかで。
別れ際に軽く握手をして。
それもほんの数秒で。
他の記憶がすぐに塗り潰してしまうだろう 短い時間。
流れていく時がすぐに消してしまうだろう 短い短い時間。
一生という時間の中では。
時間にさえ換算出来ないだろう 短い短い短い時間。
そんな時間を、私は一生覚えておく。覚えていく。
バカだと誰に笑われても。
欠片も忘れない。絶対に。
貴方に会えた時間を。
記憶に在る貴方を。
貴方が私に会った記憶を忘れても。
忘れない。
忘れられない。
どうしよう
好きで、好きで、好きで。
それこそ、無限に好きで。
どうしよう。
何度も、何回も、そんなことを言っては。
今日もまた。
どうしよう。
という言葉を増やしていく。
貴方が好き過ぎて。
本当にどうしよう。
私はまた
少しだけ。
他人が聞いたら、鼻で笑いそうなくらい。
ほんの少しだけ。
嬉しいことがあった。
思わず、声を上げ。
思わず、神様とやらにお礼まで言って。
バカみたいにはしゃいだ。
本当に本当に些細なこと。
だから?と一蹴されれば終わりなことで。
たったそれだけのことで。
私はまた、貴方を好きになる。
私を好きだと言って
一度でいいから。
私を好きだと言って下さい。
その一言で。
作られたそのセリフで。
私は貴方を諦められる。
貴方を好きなままでも。
貴方を見ないことを選べる。
泣いて、泣いて、泣いて、泣き続けて。
涙が枯れた頃に。
それは嘘でしかないのだと自覚して。
貴方と恋を演じることなんて出来ないのだと。
現実を選べる。
きっと。
絶対。
だから。
一度だけ、私を好きだと言って下さい。
何に対して
胸の奥でうずくまる気持ち。
大事に。
大切に。
それこそ、壊れ物のように。
そっと扱っているけれど。
たまに。
壊れてしまえと投げ付けてしまいたくなる。
何に対しての苛立ちなのか。
何に対して、怒っているのか。
彼に?
自分に?
この恋に?
片想いの現状に?
叶わないことを判っているくせに。
何かを望んでしまっているのか。
ドレにも答えが出ない。出せない。
判らない。
叶わないから
貴方に向くこの気持ちの正体が。
時々何か判らなくなる。
これは。
恋なのか、執着なのか。
長く焦がれている内に。
迷ってしまう時がある。
私は今。
本当に恋をしているのか?と。
貴方に触れて確かめたい、けれど。
それが叶わないから。
判らなくなって、迷ってしまうのだ。
恋心
出会ったのは、夏。
恋だと自覚したのは、秋。
一喜一憂しながら、冬と春を経て。
また夏。
移り変わる季節と共に色褪せるはずだったそれは。
今もまだ鮮やかなまま。
出会った夏の時のまま。
疼きながら、私の中で1年。