魔法
一度だけ、魔法が使えるなら。
貴方に好きになってもらうのではなく。
貴方好みの女になるのでもなく。
貴方を好きな人みんなの恋心を消す。
私以外、貴方を好きな人はいない世界で。
貴方に告白して。
貴方を抱き締めて。
私だけは好きだよ、と囁く。
私だけだよ、と。
…なんて夢の無い魔法の使い方。
容量
毎日、貴方を好きになる。
もう限界だと。
これ以上好きになれないと。
拒否しても無駄で。
溢れて零れそうなのに。
今日も貴方を好きな気持ちは胸の中。
一滴も零れず、胸の中。
”好き”の容量は一体どこまであるんだろう?
容量に限界はなくても。
苦しい。
カレンダー
数えて。
また数えて。
更に数えて。
…途中でやめた。
会えない日が、そのまま貴方との距離で。
会えない日が、会える日に変わるのは遠くて。
カレンダーを、閉じた。
貴方に会えない日は今日で何日目なのか。
知らない。
貴方に会える日まで後何日か。
知りたくもない。
印なんてつけなければ良かった。
貴方
好みのタイプと正反対。
顔良し、頭良し、スタイル良し、スポーツ万能。
私の一番嫌いなタイプ。
挫折を知らない人は嫌い。
苦労を知らない人は嫌い。
人を見下した目で見るから。
人の痛みが判らないから。
知らず知らず人を傷付けるから。
なのに、好きになってしまった。
私の一番嫌いなタイプの貴方を。
カッコイイ人だと思ったけれど。
ただ、それだけだったのに。
目を、見てしまった。
綺麗な目だな、と思ってしまった。
言葉を交わしたわけでもなく。
側に行ったわけでもなく。
遠くから見た、その目に。
一歩下がって、控え目に笑う表情に。
不覚にも恋に落ちた。
貴方を何も知らないのに、恋をしてしまった。
多分、きっと、私の一番嫌いなタイプの貴方。
今は、貴方が貴方でさえあれば、それだけでいい。
貴方が、私の一番好きなタイプ。
自慢
貴方のことを訊かれると。
貴方の好きなところばかりを話してしまう。
好きなところは、貴方の良いところで。
悪いところでも、つい庇ってしまって。
自慢しているみたいになって。
言われて、気付く。
彼女でもないのに、と。
落ち続ける
思い出の中で貴方と出会う。
毎日毎日。
もう掠れてしまって、表情も判らないけれど。
もう薄れてしまって、声も消えかかっているけれど。
それでも、毎日。
思い出の中で貴方と出会う。
そして、繰り返し繰り返し。
恋に落ち続ける。
IF
もし、貴方の側に行けるとしたら。
もし、貴方の隣にいることが当たり前だとしたら。
…もし、貴方が私を好きだとしたら。
どんなに考えても答えは出ない。
”もし”は、”もし”でしかなく、現実には結び付かない。
想像も限界。
…もし、私が貴方を嫌いだとしたら。
答えがあって、現実に結び付くのはこの”もし”だけ。
…もし、私が貴方を嫌いだとしたら。
”今の私”はココにはいない。
”今の私”は、”もしの私”にはなれないけれど。
もし、私が貴方を嫌いで、”今の私”がココにいなかったら。
想像すると、無性に悲しくなるのは何故だろう?
空回り
上手くいかない。
何をやっても上手くいかない。
時間の流れが空回り。
自分の考えが空回り。
周囲が空回り。
いっそ消えてしまいたいと思うのに。
そんな考えで今を生きれるほど子供じゃなく。
そんな考えを実行出来るほど大人で。
現実過ぎて消えられない。
消えられないから苦しい。
苦しいけれど生きていくという選択。
空回り。
空回り。
今日も私は生きている。
生きて、何事もない振りをして笑っている。
遠く
前へ前へと貴方が進む度、遠くなっていく。
夢を叶える為に。
掴んだ切れ端を離さない為に。
前を見据えて、真っ直ぐ歩く貴方が好き。
そんな貴方が…、好き。
なのに、遠くなるこの距離に絶望しか覚えない。
私はそこには行けない。
私はここから動けない。
夢を叶えて欲しいと願う私と。
挫折すればいいと願う私が。
毎日毎日ケンカして。
貴方が好きだから思うことだと仲直りして。
結局、貴方で一杯になって。
見つめるだけ。
また一歩遠くなった貴方を。
淋しい
淋しい、と。
いつも、ずっと。
心のどこかで泣いている私がいる。
淋しい、と。
泣いている私を慰めて。
今日も私はみんなと一緒に笑う。
淋しい、と。
繰り返し続けるもう1人の私を宥めて。
誰にもその存在を気付かれないように隠して。
笑う。
バカな話も、真剣な話も、人の恋愛話も。
ちゃんと聞いて、ちゃんと話して。
笑うしか、ない。