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一日一本

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『ブレード・ランナー』『高い城の男』などなど、外連味あるサイバーパンクものを多数残した不遇の作家、フィリップ・K・ディックの短編をスピルバーグがトム様主演で映画化。しかし原作からは設定だけ頂いたも同然で、実にスピルバーグらしい、万人受けする展開×ウルトラ悪趣味という謎の掛け算が成り立つ映画に仕上がったのでした。

 

ミッションインポッシブルのポスターにそのまま流用しても違和感ゼロなパッケージ、さすが何に出ても「トム・クルーズの映画」にしてしまうトム様は違います(褒め言葉)。

 

 

特殊能力者による事前予知で犯罪を予測し、殺人ゼロを達成していた未来のアメリカで、捜査官の主人公がふとしたことから殺人犯として「予測」され、追われる身になってしまう。濡れ衣を晴らすためにかつての同僚から逃げつつ、真犯人を追う捜査官トム・クルーズ。果たしてその結末は?!

 

と、ドキドキのサスペンスな筈が、主演トム様という時点で圧倒的安心感があるので全くハラハラしないのです。案の定、設定もお話も次第にトム・クルーズに有利に進んでいき、真犯人を途中で予測するのも難しくなくなります。あえて銀残しなどの古典的手法を採用しつつ、最新技術も手ぬかりなく駆使した映像は実に美しく、映像「作家」スピルバーグの真価がいかんなく発揮されています。ただお話は2時間半弱もある割には、見終わった翌日には半分くらい忘れているような内容です。見ているときは結構面白いんですけどね。サイバーパンクとしては中途半端でNG、スピルバーグ謹製の娯楽映画と見れば楽しめます。

 

ある意味、印象深いのは悪趣味な演出の数々。敵に当てるとそいつが速攻でゲロする「嘔吐棒(戸田奈津子訳より)」や、妙にしつこい殺人場面、汚い路上、坂を転がる血まみれの眼球、極め付けは腐ったサンドイッチに湧く蛆虫や、腐った牛乳を口に含んで吐き出すトム・クルーズ!『ソドムの市』じゃあるまいに、同様の気持ち悪さをメジャー作で平然とやれるのがスター監督の凄いトコロ。しかも上記の場面、物語的に一切意味のない場面だらけで、明らかに監督が楽しんで撮っているようにしか見えないのでヤバさ全開。私はイタリアのゲテモノホラーは結構好きなのですが、なぜかウジ虫湧き湧きの『フェノミナ』より本作の方が気持ち悪く感じたものです。トム・クルーズの映画でここまで映像的に悪趣味な映画は少ないでしょう、ある意味、彼のキャリア的に極北に位置する作品です。