初対面でのkiss。
大人の付き合いとはいえ、それ以上のことはできなかった。
朝帰りなどお互い可能な立場でもなく、ふらつく彼女を抱えながらホテルを後にし自宅まで送った。
「またね・・・。」と、私。
私の誕生日一週間前だったこともあり、彼女はバカラのグラスに私の名前を入れてプレゼントしてくれた。
バカラのグラスがずっしりと手に重い。
しかし、重いのはグラスではなく彼女の想いだったように感じる。
興味本位から実際の出会いにまで至ってしまった現状が怖かった。
私はいったい何がしたかったのか・・・。
途中、心に突き刺さるよな言葉をメールで送ったりしていたが、あくまで想像の中の相手であって、実際に出会ってしまうと今までの言葉が正しかったのかどうか迷いが出てくる。
彼女はその後もメールで私のことを会って益々好きになったと。
私への想いを綴ったメールが毎日のように送られてくるが、先のことを考えられない現状でいい加減なことを言えないと考えるようになった私に、メール内容が重くのしかかってくる。
だんだん私は彼女を避ける内容のメールを送りだし、今後のことを冷静に考えたいため一週間ほどメールのやり取りを止めたいと申し出た。
止めたいと言ってもあくまで前向きな姿勢であることを理解してほしいなどと都合のいい言葉を添えて。
それに実際、考えたところでちゃんとした結論が出るとは思えなかった。
それでも、次回は6月3日に会おうと言ってあったし、それまでに私の考えもまとまるだろう。結果、付き合いに終止符を打つことになったって仕方が無い。
私からの一方的な空白時間を押し付けられた彼女は大変な状態になっていく。
私の後ろ向きな姿勢に不安だらけになってしまった彼女は幻聴を起こすようになり、かかりつけの内科医師からメンタルクリニックを紹介され、受診することになってしまった。
メンタルクリニック・・・。
ってことで騒動の種になった芝居を主人と観に行った。


』彼女