この日の午後4時過ぎの新幹線で東京に帰らねばなりませぬ

残りの時間を満喫しようと訪れたのは嵐山


妹の話では、中之島公園の砂利も流されてしまっていたのが、あっという間に敷き詰め直されるなど

本格的な秋の観光シーズンを前に、迅速で懸命な復旧作業の末、元の景観を取り戻しています


天龍寺や嵐電・嵐山駅を中心とする道路や土産屋さんも浸水被害を受けた痕跡は全く見当たらずきれいで
またこの日は土曜日ということもあり、多くの人でにぎわっていました

さてそろそろ予約していたお店にお昼を頂きに行く時間です

嵐山から桂川の堤防沿いの道を南へ2kmほど下ると左手にある天ぷら 松さん


京都の食通の方々や、著名人、ミシュランを獲得したお店の外国人シェフも常連のお店で
『等伯』で直木賞を受賞した安部龍太郎さんも、時々来店するとご主人に伺いました

懐石料理が人気のお店ですが、看板や暖簾にはあくまでも「天ぷら」と掲げているのが逆に素敵ですし
気さくで優しくて温かいお店の雰囲気と、おもてなしのお心が最高に居心地のよいお店です



左の写真が1代目のご主人、右の写真が2代目ご主人と若ご主人さん(…本当の呼び方は不正解かもです


カウンターのお席を予約していたので、お店の方との会話も楽しみながら美味しいお料理を頂きました

すっかり忘れていたが、真昼間っから青竹に注がれた日本酒とビール飲んだことを写真見て思い出した


はじめに出て来たのは、蛤とずいきの和え物。味付けは蛤の出汁だけで十分な風味の一品。
自家製のホタルイカの醤油づけを3つくらいにぶつ切りにして、直径15㎝くらいの熱々の石鍋に投入した途端、
お醤油とホタルイカのワタが焦げる匂いが一気に立ち上るところへ洗ったご飯を混ぜて頂くのだけど
これが失神しそうなくらいに美味しかったぁ



左は鱧と白子のふわっふわの優しい味のお料理で、そのほかユキノシタ・栗・銀杏・クコの実で
この器は魯山人


右はシマアジとずいきの甘酢なんだけど、お酢がつんと来ること一切なく淡くて優しいお味でした


五品目はお造り。かわいいお花はつるむらさき。そのあとはワタリガニのお出汁が芳醇なお味噌汁
蓋に鶴の図柄の施された漆塗りのお椀は




シダの葉と紅葉しかかった桜の葉の乗ったすだれを開くと…

ふたつのセイロにそれぞれ、炊いたタコと枝豆のおこわと子持ち鮎に山椒の葉をのせたごはんがこんにちは♪


そして八品目に松茸と鱧が登場




『松」さんのお料理そのものや飾りは勿論ですが、更に使われている器の数々の素晴らしいこと

松茸と鱧の盛り付けられたお皿は、私が今回のお食事で一番気に入ったものでした

次に女将さんが運んで下さったお料理は、たっぷりの山椒の葉と金粉があしらわれた鯛のあら炊き


はじめのお料理の紅白の水引が添えられた演出だけでも感激でしたのに
ご主人さまから母へのお祝いの温かいお心遣いを頂き、感謝の気持ちでいっぱいでした


更にお塩で頂く天ぷら二品と、氷の器に盛りつけられた鰹だしの香り豊かなつゆに浸ったヨモギのおうどん
とろろとウズラの卵でまろやかに、喉越しよくつるっと、あっという間に食べちゃいました♪


デザートは、こちらも名物の黒蜜ときなこがたっぷりのわらび餅とハイビスカスのハーブティ



『松』さんでは、お客さんの様子を見て、例えば先にご紹介したおうどんのおつゆの味付けなどで
微調整をしてお出ししたりすることがあるのだそうです。
母と娘二人の女性3人だったので、もしかしたら女将さんが見た目もきれいで香りもよく
ビタミンCもたっぷりのこのお茶を、美容のためにと気遣って出して下さったのかもしれないと感じたのでした

このお湯飲み茶碗も素敵だなぁと思いました

名店なのに一切気取ることもなく温かいおもてなしを受けながら、
会話も楽しみつつ、美味しいお料理の数々を頂いた幸せなひと時でした


さて、こちらは嵐山から『松』さんまで乗ったタクシーの車内から撮った桂川の景色。
観光客の途絶える少し下流からまだずっとその先は、このように濁流に呑まれなぎ倒された木々がそのままの姿で
流木やごみの溜まったままの地域もまだまだ広がっていると運転手さんから聞きました


再びタクシーに乗って、嵐山に戻ってJR嵯峨嵐山駅へ
駅の改札そばのパンフレットの置かれた棚で、このパンフレットを見つけて1枚もらいました。

私が京都を訪ねた週末とその翌週に渡って、台風18号被害へのご声援・ご支援に感謝して、
嵯峨・嵐山は皆さまをおもてなしするイベントを開催します!と銘打って企画が盛りだくさんのお知らせでした

もしもこの秋、京都を訪ねる機会がありましたら、ぜひぜひ嵯峨・嵐山を訪ねて頂けたらと思います

7~8回で終わりたいと思いながら書いてきた今回の京都の旅の様子は、次回で「完」の予定です

今回も長い記事なってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました

