◎鈴(すず)
昔から、鈴は神様をお祭りするときに用いられていたようです。平安時代初期の『古語拾遺』(こごしゅうい)という書物には、天照大神(あまてらすおおみかみ)の岩屋(いわや)にかくれられ世の中が暗やみになった時、天鈿女命(あまのうずめのみこと)が鈴を取り付けた矛(ほこ)を持って歌い舞われたことが記されています。また、神社に納められた神宝(しんぽう)のなかにも鈴が見えていますので、神様も好まれたのでしょう。今日、神社では二種類の鈴が用いられています。一つは巫子(みこ)が舞のときに手に持つ神楽鈴(かぐらすず)、もう一つは拝殿(はいでん)の前に掛けてある鈴です。参拝のときには、神様をお慰めするためにこの鈴を振ります。そして、同時に拝む人もすがすがしい気持ちになることでしょう。
また、鈴を鳴らすことによって、神様にご注意をうながすためともいいます。(←まるで、普通の家の玄関の「ピンポ~ン」とならすチャイムみたいな解釈ですね。)
【参考文献】
神社本庁教学研究所『神道いろは―神社とまつりの基礎知識―』(神社新報社、平成十六年)
「鈴」(『神道大辞典』平凡社、昭和十二年)