松下文洋『道路の経済学』を読了。
日本の高速道路の通行料が高い理由はよく分かった。それを引き下げるための著者なりの改革も、ある程度は理解出来た。
しかし、この本では、議論が中盤以降で錯綜している。その理由は明快で、著者は高速道路と一般の道路について混同して、議論を進めてしまっているのだ。
そもそも、『道路の経済学』と銘打っているが、経済学っぽいことを書いているのは高速道路に関する部分においてが大半を占める。経済的な分析を行うにしても、通行料を徴収している高速道路と税金を財源とし原則無料の一般道では、そこに差がある。そのあたりについて、あまり配慮された書きぶりになっていないことに問題の原因がある。
おそらく、「アクアラインの通行料値下げ」という看板があって、そこから周辺にも記述を広げていって一冊にしたというのが実情だろうが、だったら、もっとアクアラインのことを詳しく論じた方が、結果として、「道路の経済学」の本になっていたと思われる。
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