(元)無気力東大院生の不労生活

(元)無気力東大院生の不労生活

勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

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 NHKメルトダウン取材班『福島第一原発事故の「真実」』を読了。

 さすがNHKの取材と思わせる骨太な内容。
 前半部分は、番組の放送を思わせるようなドキュメンタリー的な記述。原発事故当日からその後まで、実際にどのようなことが起きていたのか追体験できるような内容になっている。
 後半部分は、謎として残されていた点について検証する内容。こちらもNHKだからこそ出来たと思わされる取材や検証が中心となっており、大変に「読ませる」内容。
 タイトルに「真実」とあるが、まさに「真実」に迫った好著だと思う。

 

 

 

 大西康之『起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』を読了。

 リクルートの創業者、江副浩正の評伝。
 会社を大きくしていく時の勢いを感じさせてくれる逸話の数々が大変興味深い。後付けで「盛った」感のある逸話もないわけではないが、それも含めて評伝として面白く読める。

 

 

 

真山仁『ロッキード』を読了。

  既に十分に語り尽くされたのではないかと思われるロッキード事件。そこに新たな視点で切り込んでみせた好著。
 少なくない関係者が鬼籍に入るなかで出来る限りの取材を行い、さらに残された各種資料に当たり、新たな謎を炙り出す。その謎に完全な解が与えられるわけではないが、著者なりの見立てをきちんと示しており、この種の本でよく味わう生煮え感はない。

 かなりの大著だが、最後まで飽きることなく読み通せる。

 

 

 

 西野智彦『ドキュメント 日銀漂流』を読了。

 

 松下総裁以降の歴代の総裁の下で、日本銀行がいかなる金融政策の運営を行ってきたのか。特に政治との距離感をいかに取ながら、その運営にあたってきたのか。関係者への取材も十分に踏まえ、関係する資料もふんだんに用いながら迫っていく。
 日銀法が改正され、「独立性」が強まったからこそ求められる日本銀行としての取り組み。政治から、さらには財務省からの強い要請がある中で、どのように総裁がかじ取りを行ってきたのかが克明に描かれている。

 

 

 

 

  諸富徹『グローバル・タックス』を読了。

 

 GAFAをはじめとした巨大多国籍企業が租税を回避している現状。それに対して主権国家のみでは対応が十分に出来ないことから、国際的な対応を考え始め、対策の方向性が見えてきたということを簡潔にまとめたもの。
 経済の規模感と政治の規模感の齟齬ゆえに生じた大きな歪み。その解消がどこまで可能なのか。一定の対策は見えてきたとは言え、まったくもって予断は許さない。

 

 

 

 

日比孝之『多角形と多面体』を読了。

 

  高校生でも十分に理解できるようにという意図をもって書かれたものだが、高校生でも理解出来るのは前半部分だけで、第5章の「エルハート多項式の理論」あたりからは理解出来る層は限定され、第6章の「凸集合と凸多面体」からは高校生どころか大半の読者を置き去りにしていく。
 その後に第7章と第8章で双対性と反射性が取り扱われるが、定理や補題について数式がどんどん展開されていくだけで、普通についていくのは不可能だと思う。

 その道の専門家が書いたものなので、このあたりでも十分に初歩的と判断してことだとは思うし、実際に手に取るのは高校生ではないのかもしれないが、後半以降の読者を「置き去り」にした感じはいかんともしがたい。

 

 

 

 重田園江『フーコーの風向き: 近代国家の系譜学』を読了。

 

 著者が過去に書いた論文を集め、いくつか書き下ろしを追加したもの。
 過去の論文については、入手が困難になっているものもあるので、こうして一冊にまとめられるのはありがたい。
 コラムも付されているが、それが過去の論文について、その執筆の経緯が詳述されている。研究者の目線から、このコラムこそが本書の読みどころと言えるかもしれない。

 フーコーがその時々に何に関心を払ってきたのかということが本書に収録された論文を読むことで把握することが出来る。まさに、タイトルにあるように、「フーコーの風向き」がどこにあったのか。それを知るには大変有用な書である。

 

 

 

 トマセロ『道徳の自然誌』を読了。

 

 ヒトの道徳性について、先行研究を踏まえ(著者トマセロによるものも含む)、三つのステップによる進化のモデルを提唱する。
 初期のヒトに関しては、現代の幼児を対象にした心理実験の結果を参照して議論しており、本当にそれが妥当なのかは判断がつきにくい。ひとつのモデルとしては大変興味深いが、実証は本書の著者が考えている以上に難しいように思う。

 

 

 

 ハーマン『思弁的実在論入門』を読了。

 

 題名に魅かれて読んだが、まったくの期待外れ。
 断じて、思弁的実在論の入門ではない。
 著者は、思弁的実在論の端緒を切り拓いたオリジナルメンバーの四人のうちの一人であるハーマン。 そのハーマンの立場から、他の三名に対する批判と自身の立場の解説のようなもの。これが本書の内容。
 四名が同じ思弁的実在論に括られながら、実際には異なる主張を展開している以上、そのうちの一人が入門なるものを書いても、およそこうなることは見えていたとは言え、期待を大きく裏切るように、入門的要素は本書には皆無であった。
 本書の著者のハーマンによるものは言うに及ばず、その他の例えばメイヤス―らの著書も十分に読み込んだ上でなければ、本書を読んでもほとんど得るところはない。

 

 

 

 伊藤邦武ほか(編著)『世界哲学史8』を読了。

 

 8巻シリーズの最終巻。
 最終巻は、もはや近現代を対象とすれば何でもアリになってしまっているよう。
 これまでの各巻と同様に、各章は興味深いものも多く、決して悪い本ではないのだが、やはり世界哲学史を編むという企画は残念ながら最後に完全に霧消したと評せるだろう。
 たぶん、物好きしか全巻は読まないと思うので、これはこれで良いのかもしれないが。