ランシエール『民主主義への憎悪』 | (元)無気力東大院生の不労生活

(元)無気力東大院生の不労生活

勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

 ランシエール『民主主義への憎悪』を読了。


 本書は、各種の社会問題の原因をデモクラシーに求める議論に対して、そもそも、デモクラシーの起源を遡れば、それが社会に不和を呼び起こすのは当然であると述べ、いわゆるデモクラシーの暴力的な側面について論じている。ある種のデモクラシーへの幻想を打ち破り、その内実を抉り出す作業がなされるのである。

 そして、それでも著者はデモクラシーの必要性を説く。この点については、『不和あるいは了解なき了解』の方が詳しく、本書では概略しか述べられていないが、声なき者の声をいかに聞こえるようにしていくのか、この点に、デモクラシーの必要性が潜んでいるとまとめられると思います。

 

 本書については、求められる基本的知識も多く、これだけを読んで十分に理解しようとするのは困難だと思います。ただ、装丁が綺麗なので、飾っておくだけというのもアリかもしれません。

民主主義への憎悪/ジャック・ランシエール
¥2,940
Amazon.co.jp
不和あるいは了解なき了解―政治の哲学は可能か/ジャック・ランシエール
¥3,885
Amazon.co.jp