ランシエール『民主主義への憎悪』を読了。
本書は、各種の社会問題の原因をデモクラシーに求める議論に対して、そもそも、デモクラシーの起源を遡れば、それが社会に不和を呼び起こすのは当然であると述べ、いわゆるデモクラシーの暴力的な側面について論じている。ある種のデモクラシーへの幻想を打ち破り、その内実を抉り出す作業がなされるのである。
そして、それでも著者はデモクラシーの必要性を説く。この点については、『不和あるいは了解なき了解』の方が詳しく、本書では概略しか述べられていないが、声なき者の声をいかに聞こえるようにしていくのか、この点に、デモクラシーの必要性が潜んでいるとまとめられると思います。
本書については、求められる基本的知識も多く、これだけを読んで十分に理解しようとするのは困難だと思います。ただ、装丁が綺麗なので、飾っておくだけというのもアリかもしれません。
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