尼崎を思う | (元)無気力東大院生の不労生活

(元)無気力東大院生の不労生活

勤労意欲がなく、東京大学の大学院に逃げ込んだ無気力な人間の記録。
学費を捻出するために、不労所得を確保することに奮闘中。
でした。

 今日は三戸祐子『定刻発車』(新潮文庫)を読んでいました。この本では、非常に綿密な調査によって、何故日本の鉄道が1分とて遅れずに運行されているのか解き明かされています。細かい内容に興味がある方は実際に本を読んで頂いた方が良いと思います。

 この本を読んで思ったのが、先のJR西日本の尼崎での事故に関して、私は思い違いをしていたということです。事故当時は、秒単位で運用されている鉄道の実態に違和感を持っていました。そんな無茶な運行をしていれば、それは事故も起こすだろうと。

 しかし、この本を読むと、秒単位で運用されているのは変な事でないと思わされました。1秒でも遅れを取り戻そうとした運転手の必死な思い。事故当時は理解できませんでしたが、この本を読んで何となく理解できた気がします。また、事故を起こした運転手やJRに非難が集中しましたが、事は単純でないことも分かりました。1分とて遅れを許さない日本人の心性。そういうところから、もう一度あの事故を考え直さなければならないと思います。

 事故が起きてから時間が経過し、一部の被害者に関してはJRとの補償交渉が成立したとの報道もありましたが、この本を読んで、もう一度あの事故のことが強く私の中に甦ってきました。日々の世事に追われ、つい悲惨な事件や事故を忘れてしまいがちなるのは否めません。それでも、このような本を通して、あるいは自分自身が間接的に加害者になっていた可能性を含めて、改めて考え直したいと思いました。

 まぁ、明日から、きちんと電車に乗ろうと思いました。駆け込み乗車は絶対に止めます(笑)。