前回のブログから2週間空けてしまいました。さて、今回も前回に引き続き「外国人労働者と日本企業」というお題目でお話をしていきたいと思います。今回は、外国人労働者が抱える問題について考えていきたいと思います。
以前、M女史とお話させていただいたとき、ミャンマーの労働者の問題点についてお話を伺うことが出来ました。そこには、日本人の視点からは考えもつかない彼らの思考があったのです。
以下のお話は、実際、M女史が執筆された本に書かれてあった実話に基づくものです。
とあるミャンマーからの労働者を抱える日本企業の社長が、ミャンマー人労働者の日ごろの頑張りに報いるため、また、福利厚生を考えて社員をディズニーランドに連れていくことにしたのです。しかし、ミャンマーからの労働者は面白くありませんでした。
何故、不満に思ったのでしょうか?
「折角の社長の配慮であるから素直に喜び、その日の行事を楽しめばよいじゃないか。」
「ミャンマーにはないアミューズメント施設であるがゆえに、自国の発展度合いと比較すると恥ずかしいと感じてしまうから行きたくない思いが去来し、不満を持ったのだろうか。」
等々、我々日本人が考える彼らの心境と実際に彼らが持つ想いとは大きな乖離があるのです。
彼らは、自国の発展も勿論ですが、先ずは自分たちの生活の質の向上を考えているのです。それが第一優先なのです。自国の経済活動では裕福な生活を送るために奮闘してもガラスの天井が存在している。不自由のない生活を送るため、家族が申し分なく生活できるための糧を得るため、また子供達が十分な教育を受けることが出来るようにするため、自国ではなく日本での就職という選択をして奮闘しているわけです。言葉、生活習慣、ビジネス、全てが大きく自国とは異なる外国で暮らし、仕事をし、お金を貯め、そして本国に持ち帰り、家族が生きる道筋を作っていくことが彼らの目的なのです。従って、「仕事を休んでディズニーランドに行くくらいならば、仕事をしたい!」というのが彼らの本音なのです。例えば、技能実習生であれば、日本に滞在できる期間は3年と決まっています。その3年という定められた期間を如何に無駄なく、効率的にお金を稼ぐか、が彼らの命題なのです。いくら過酷な労働環境でも根を上げずに頑張る外国人労働者には、こんな思いがあるのです。
彼らは、「お金を稼ぐ」そして「自分の、家族の生活の質の向上」が目的なのです。確かに、私はミャンマーに旅行に行き、彼らの生活や環境を実際に見ての感想は、「本当にこれから発展していかなければならない国である」というものでした。しかし、悲しいかな、彼らは日本の経済力を見ているのです。日本の、日本人が持つ、かけがえのない日本人精神、日本の伝統・文化を学ぼうということではないのです。その昔、マレーシアのマハティール前首相は「ルック・イースト政策」を掲げ、日本を見習え、日本人の精神を見習え、日本人の不屈の闘志と奇跡的な経済復興を学べ、と言っていました。また、台湾では、未だに「日本精神」(リップンチェンシン)という言葉が存在しています。このように戦前から戦後10年から20年の間の日本人の力、考え方に胸を打たれたアジアの国々が多くあったのです。今はそれを見る影もなく、日本の精神性を手本にしようと考えているアジアの国はほぼ皆無です。単にお金しか見ていません。こんな寂しいことでいいのでしょうか。経済の面だけではなく、人間として成熟している国民性を持つ日本を再興してアジアをリードし、我々が持つ技術力・経済力を共有していかなければなりません。先ずは資質の向上です。資質が無ければお金を持っていても荒廃の一途を辿るだけです。彼らに「やはり、日本に来て仕事をさせていただいてよかった。人々も素晴らしい。日本人の精神性は見習うべきものがある。私達も日本人の精神性を見習って国を造っていかなければいけない。」と思ってもらいたいものです。
次回は、外国人労働者と日本企業その3ということで彼らが病気を患った場合のお話やパワハラ、セクハラのお話をしていきたいと思います。