M女史との打ち合わせの結果、先ずは現地を見ることが重要ではないか、という結論に達しました。私、個人的にも現地の雰囲気、教育のレベル、人々の顔を見ることが重要であると考えたいたためです。1回目の打ち合わせの後、2回目の打ち合わせまでの間、自分の中でどのように教育事業を行っていくかを考える時間としたのです。最初に多くの技能実習に関する情報をかき集めて問題点を考えることにしました。
先ずは、経営云々の前に、この制度における問題点を見ることにしたのです。問題と考えたのは、「多くの海外メディアによりこの制度が酷評されている。」ということです。何故、そのような論評があるのだろう、と思い更に多くの情報収集に努めてみました。そして様々な情報を見てみると、日本の企業側にも外国人研修者、双方に問題があるのではないか、と思い始めたのです。先ず、日本の企業側(全ての企業という意味ではありません)では、慢性的な労働力不足を補うべく、明らかに日本人労働者がしたがらない労働を彼らに課しているということがあります。「石の上にも3年」ではありませんが、丁稚によって技術のノウハウを学び身に付けていくという徒弟制度のようなものの重要性も分かりますが、彼らには3年という時間しか日本政府によって認められておらず、その3年間で、特定の技術を身に付け、帰国しなければなりません。しかしながら、実際は所謂下働きの連続で重労働が課せられる場合も少なくありません。そのような労働条件・環境の中で得られる技術はそんなに多くは無いと思われます。また、セクハラ、パワハラも横行している現状もあるようです。
多くの外国人労働者にとって日本は雲の上の存在であることは確かです。経済的格差がそのような幻想を抱かせているのかもしれません。勿論、技術力の高さ、経済力、勤勉さ等々、彼らが求めている部分はまだ生きています。その反面、モラルの低い多くの日本人労働者、目的意識の欠如している労働者、実際に考えているのは個人、我のことのみ、幸福の追求の根底にあるのは唯物主義的なところ、結局お金を儲けるための道を究めることが重要視されている社会等々、幻滅する事実を目の当たりにし、何かが違うと感じる多くの外国人労働者も多くいます。
大東亜戦争の時代、多くのアジア人は日本を尊敬できる国と考えていました。また、戦後の経済復興を見ても日本人の精神や粘り強さに憧れていたのです。多くの若いアジア出身の外国人労働者は、お年を召した親族から日本人の力強さ、考え方、独立を助けるために尽力してきた姿を教えられてきました。礼儀正しさ、勤勉さ、寛容さ、忍耐力、そういった目に見えないけれども感じ得る素晴らしい資質を日本人は備えていると教えられてきたのです。しかしながら、実際に日本に来て感じること、見ること、体験することは、聞いてきたこととは正反対のことが多いそうです。日本にいる間は、日本人にお世話になっているため不平不満はあまり多くは表に出さないようにしているようですが、実際帰国してからは日本について酷評している場合も多いようです。最近の日本人はモラルが欠如している、と本当に感じるようです。また、思ったより犯罪が多いということもショッキングな事実でしょう。今の日本人はお金を得るためには人をだましても関係ないという人間が多くいるということです。「オレオレ詐欺」など詐欺事件の多さ、また無差別殺人や薬物事件など、日本人精神が失われたことによる悲しい事件が多く発生している事実を私達は無視をしてはいけないと思うのです。
先ず、彼らの期待に応えるべく私達日本人は、日本人精神を取り戻し、彼らの規範となるべく努力をしていく必要があります。現代社会においては経済活動というものは生きていく上では切っても切れないものですが、全てお金中心では世の中は行き詰るということを理解しなくてはなりません。お金を主役とするのではなく、人間を主役としてお金が後からついてくる流れにしなければなりません。人間死んだ後、お金をもって死後の世界に行くことは叶いません。お金の追求より人間を追求した方が、後世にとっても非常に重要なことなのです。人間を育て、社会を発展させる、そのことに重点を置くこと、そして人々のために尽力することに重点を置く必要があると思うのです。日本人は失われた日本人精神、大和魂、武士道精神をもう一度学ぶ必要があります。そこにこそ、失ったものを取り戻し、人間としてもう一歩成熟し、完成に近づくことに繋がるのです。日本人はDNA的にその下地を持っていると思っています。今はまだ間に合うと思います。日本人が本気で取り戻す努力をしていけば、もう一度日本人が輝くことが出来ると思います。日本人が人間的にレベルアップを成し遂げることが出来れば、世界中の多くの人々から称賛を得ることが出来るでしょう。そして世界の人々も自ら変わる努力をしていくのです。勿論、多くのアジア人の皆さんもまた日本を見直し、一緒に自分たちを成長させてくれる日本人を敬愛し尊敬してくれるのではないでしょうか。現代の日本人は、白人に対しては劣等感を持ち、アジア人に対しては優越感を持っています。そんなコンプレックスは両方捨てるべきです。白人や白人社会と対等に付き合うために英語や彼らの思考について学び、またアジア人に対しては慈愛の心と忍耐力をもって共に発展する喜びを共有していく必要があると思います。
私は、新事業を展開するに当たって、この辺の問題点を解決しながら共に弥栄える道を模索していく必要があると考えています。次回は、外国人労働者たちの問題点についてM女史からの情報も含めてお話していきたいと思います。続く