立身出世物語 Rags-to-Riches
アメリカという国は、多民族国家ですから、多様性に関して非常に敏感です。
現在では、「多様性」というと人種のことだけではありません。
性別やジェネレーション、また、ホモやレズを含む性的指向に関するものを含めて様々な他人との違いを受容して平等な機会を提供することが現在のアメリカ社会の成長の一つの方向性となっています。
実際、これは、共和党が政権を取った場合と民主党が政権取った場合では大きく異なってきます。
クリントン政権とブッシュ政権でも大きく異なりました。
クリントン政権は、民主党が母体のため、リベラルなカラーが強かったのですが、逆にブッシュ政権では、共和党が母体ですので保守的なカラーが鮮明に打ち出されました。
私は、当時、現役自衛官で、米軍と訓練する機会もありましたから、米軍における政権からの影響について話を聞く機会も多くありました。
オバマ政権となって、ブッシュ政権から大きく変わった事項は、「平等な機会の提供」を重視した政策を推進していたということです。
これは、男女に関することもそうですが、人種や性的指向に関することも含まれます。
オバマ政権に変わって、軍に大きく影響したのは、Don’t ask Don’t tell ポリシーでした。
「ホモでもレズでも兵士として問題がなければ、性的指向に偏見を持たず、入隊させ、一兵士として扱いなさい。」というもので、「ホモとかレズの兵士に、その人の性的指向を聞いてはいけなし、答える必要もない」というものです。
これには、軍隊内でも揉めに揉めました。
若い兵士は、原則的に基地内で生活しますから、そのように性的指向が異なる兵士が兵舎にいると多くの不都合が生じ、問題化しておりました。
シャワー・バス・トイレ施設の使用や兵士内の士気にも大きく影響していました。
当時、私は、米陸軍上級曹長学校にいましたので、連日その話題で議論が交わされていたのを覚えています。
よく、米軍人に「日本の自衛隊では、そんな問題はないのか?」と聞かれたものです。
また、帰国後、話題になっていたのは、女性兵士にも、男性兵士と同じ職域へ門戸を広げるというものがありました。
これによって、女性兵士がレンジャー錬成訓練に参加したり、海兵隊の歩兵将校へ女性兵士がチャレンジし、大きな話題になっておりました。
私は、女性兵士の、様々な分野への挑戦は是非、推進するべきだと考えています。
理由としては、私は、多くの優秀な女性米兵と仕事をする機会を得ていたからです。
このように、「平等な機会の提供」というのはアメリカでは非常に重要なことなのです。
例えば、企業においても、何%の従業員は、少数民族出身者だとか、役員の何%は、女性だとか、そういうものが非常に重要になってくるのです。
それが、「我社は、そういった雇用均等・機会均等というものを重要視していますよ。」といったPRになるのです。
また、他に「学歴が低かった社員も機会を平等に得られ、努力によっては役員にまで上り詰めることも可能だ。」なんてことをPRすることもあります。
まさに、アメリカン・ドリームですね。
「ロッキー」の映画のように、無名のボクサーが、努力によって這い上がり、チャンピオンになる、みたいな立身出世物語をアメリカ人は好む傾向にあります。
そこに、アメリカン・ドリームを見るんでしょうね。
他にも有名な立身出世で有名な映画と言えば、ウィル・スミス主演の「幸せの力」ですね。
これは、実在の人物の立身出世物語でホームレスから億万長者になったサクセス・ストーリーを映画化したものです。
機会があったら是非見てみてください。
さて、この立身出世という意味を持つ英語表現が、Rags –to-richesです。「ボロから金持ちに」といったところが直訳でしょうか。
例えば、Could you tell me a little about his rags-to-riches story? 「彼に立身出世物語少し教えてくれない?」のように使えますね。
とにもかくにも、アメリカ人は立身出世物語が大好きです。
アメリカ人は、「お金持ちは、偉いのか」という質問に実に5割以上の国民が「その通り」と考えているという統計があるほどですからね。
では、また
こうちょ