Chapter 8 A new chapter in my life! 陸上自衛隊入隊 | 熱血講師 ショーン 近藤 Leadership & Language Boot Camp

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陸上自衛隊入隊

平成4年1月30日、某県某市、某駐屯地に哲は着隊した。

今でも忘れない寒い冬の日だった。

父親の運転する車に乗って家を巣立った。

2回目の巣立ちである。

父とはあまり関係が良いとは言えなかったから迷惑だったであろう。

駐屯地への道。

それは車でだいたい25分程度である。

まだ道路は凍結しており、この時期、車線もはっきり確認できない程ところどころ雪で覆われている。

車中では言葉は交わされなかった。

車から降りるとき「しっかりやれ。」とだけ言われた。

そこには父の様々な想いがあったのだろう。

しかし、その時の哲には、その言葉を深く理解する余裕はなかった。

そして、新たな門出に向け期待に胸が膨らむということもなかった。

不安だらけだった。

その不安で父の言葉を理解できなかったのかもしれない。


思い返してみると、高校時代、停学処分を喫したとき、柔道部顧問のS先生の提案により先生の家に住み込みで修行させられたことがあるので家を出て生活することには不安はなかった。

哲は、自衛隊では食事を作る必要がないので、先生のところにいた時よりはマシだと思っていた。

当時、料理もろくに作ったことがない哲に先生は毎朝・毎晩の食事を作らせていた。

当時、先生は新進気鋭の柔道家で、着任した年、アジア大会86キロ級で金メダルを獲得し、オリンピック強化選手に指定されていた。当然、哲には過酷な毎日が待っていた。

起床後、6キロのロードワーク、朝食、洗面、そして登校。

授業終了後、午後3時には部活。当然サボれる訳もなく毎日2時間みっちり体を鍛え、柔道の技を磨いた。

その後、帰宅してスーパーに買い出し。

先生は学校で1ないし2時間の残業である。

その間に夕食の準備である。

先生の帰宅後、一緒に夕食。

その後翌日の授業のための予習が待っていた。

哲は、物理、化学、古文、漢文、殊更英語は苦手としていた。

先生は、体育の先生だが、筑波大卒業ということもあって、ある程度学業にも自信があったらしく、一緒に予習に取り組んでくれた。

が、である。

いかんせん、体育教師であるがゆえ、哲の苦手としている科目の援助にはならず、二人で負のスパイラルに陥る日々が続くのであった。

二人である一定の時間悩むのであるが、当然予習というタスクは終わらない。

先生がそのムシャクシャした気分を一掃させるために取る行動とは、勿論、筋トレであった。

二人で夜8時に学校に行き、筋トレを1時間するのである。

さっきまでのモヤモヤは無くなっている。

この筋トレによって気分転換がなされ達成感を味わうのだ。

よし、今日も頑張った、精一杯精進したと感慨にふけるのである。

しかし、予習は終わってはいない。

そして、疲労困憊の体を引きずりながら先生宅に帰宅し消灯という流れになる。

これが毎日である。

発狂である。

地獄であった。しんどかった。

常に逃げ出すことだけを考えていた。

でも、今回は違う。余計なことはしなくていいんだ。

しっかりと、訓練に集中して、自衛官として為すべきことを為せるように自分を磨けばいいと思った。

先生のところに下宿した時よりは幾分ましであろうと思っていた。しかし、それも幻想であった。

続く