猛省!猛省!また猛省!
今回の団結会の調整に伴う通訳の悪い部分はどこだったんでしょうか?
皆さんだったらどこを指摘しますか?
前回の記事を読み返して頂ければと思います。
実際の私の通訳のパフォーマンスは大凡あのようなものでした。
先ず、第1に挙げなければならないのが、sirを付けていないところでしょうね。
このような軍事組織においては、階級と役職、及び名前が重要になってきます。
この3大要素の一つでも間違えたらアウトです。
当然これは、国の省庁のトップや管理職の方々の通訳をする場合も同様です。
従って、我が自衛隊の組織の者の通訳をする際、その方の階級とその方のカウンターパートの階級をよく理解しておかなければなりません。
それを承知して通訳をしていく必要があります
。当然、今回私の隊長は1尉ということで昔でいう大尉相当です。彼のこの場面におけるカウンターパートは少佐ですので少佐の方が1階級上ですので、それにふさわしい単語を選択して通訳していく必要があります。
次に指摘しなければならないポイントとして団結会を単にパーティと訳して通訳していました。
これは悪くはありませんが、適切な単語の選択から考えると、icebreaker という単語をチョイスすることによって一気に全体的に何を意図しているかが理解できます。
Icebreakerとは、読んで字の如く砕氷です。
また他の意味として「座をなごます」とか「初対面の人が会ったときその緊張を解きほぐすためのもの」といった意味合いがあるわけです。
この単語を私が使っていたならば、単なるpartyではなく、懇親会であり、その目的は団結を促し相互理解を促進させるために自衛隊側はsocialを企画しようとしているのだなという理解を少佐は持つことができるのです。
では、次に指摘されなければならない点としては、私は、「彼は、こう言っています。」「そのように言っている。」のように3人称で通訳しているところです。
通訳とは、被通訳者の影武者とならなければいけませんので常に1人称で通訳していかなければなりません。
通訳は通常、話者の話と同じ時間か若しくはそれより若干短い時間で訳出しなければなりません。
何故なら、通訳は、被通訳者の「見えないファシリテーター」とならなければならないからです。
つまり、話者を助け見えない(決して主役にはならない)進行役として務めなければならないからです。
最後に指摘できるところとは、どこでしょう?
私自身の態度でしょうね。
何かと言い訳ばかりしていたと思います。
そこには、全く私が通訳という任務に集中していなかったというのがわかります。
これでは、私の当時の被通訳者である隊長に申し訳ないと言わざるをえないわけです。
このように、自分が発した言葉で全てが理解され物事が決まっていく状況というのは恐ろしいものです。
通訳は、とてつもない責任を負わなければならないってことを以降の自衛隊生活で嫌というほど味わっていくのです。
この調子で、通訳をこの訓練期間やっていったのですが、まあ、見るも無残な状況がいっぱい生起していくわけです。
次回は、日米共同空域統制調整会議における無残な通訳の状況をお伝えしたいと思います。
続く