空域調整統制任務! | 熱血講師 ショーン 近藤 Leadership & Language Boot Camp

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空域調整統制任務!

GCAの免許取得後、上級航空管制員課程入校のため、またもや航空自衛隊にお世話になり、管制官として腕を磨いていました。

その後、OJTの教官等に指名され後輩育成、そして恒常管制業務、任務に黙々と邁進する日々を過ごしておりました。

因みに陸上自衛隊、海上自衛隊、そして航空自衛隊の管制官はそれぞれ勤務において大きな特色があります。

3自衛隊とも、それぞれ飛行場を有しているので、勿論、航空管制業務を法律で定められた時間運用します。

ですから、それぞれ普通に管制官として勤務している点が共通点です。

陸上自衛隊の特色は、移動式管制装置なるものを保有していますので、実動演習の際は、それら管制装置をトラックに積載、若しくは牽引して演習場に展開するわけです。

そして野外での管制(に近いコントロール)を実施します。空自も同様に移動管制隊なるものが存在しますが、当該部隊の主任務は、各飛行場の管制装置が保守整備に入った場合、当該飛行場に展開し、既存の管制施設の代替として機材を提供するというものです。

海上自衛隊の管制の大きく異なるところは、管制官が乗艦するということです。

ヘリが離着陸できる艦船を海自は保有しているため管制業務が必要となります。

例えば、南極観測船(海上自衛隊が運航)にも管制官が乗艦します。

さて、話は戻りますが、陸上自衛隊は、おおよそ月1回は野外訓練が行われます。

その際、管制部隊は、管制資機材を展開地(ほぼ演習場)まで運搬し、機材展開を実施します。

そして、管制業務を実施します。

他にもう一つ管制官が担任する業務があります。

それが飛行統制と空域調整統制業務です。私は、演習や日本が有事の事態に陥った際は、管制官ではなく空域調整統制陸曹として運用されることになっていました。

この業務が結構複雑でした。

おおまかに説明しますと、日本有事の際は、ある一定の地上高以上の空域の統制は空自が握ります。

それ未満の非常に低い空域は、陸上自衛隊が担任します。

戦いは、地上部隊が最終的に目標を奪取しなければ勝利とは言えないため、海空自衛隊は、陸上作戦成功のために協力をします。

地上部隊の勝利に欠かすことができないの重要な要素の一つは空からの支援です。

空からの支援なくして地上戦の勝利は困難であるのは皆さんもご存知だと思います。米軍率いる多国籍軍が中東で様々な作戦を実施する際も、当初は制空権、制海権を奪取しました。

そこから地上部隊の投入となります。

制空・海権なくして地上部隊を投入することは、自殺行為です。

従って、私は、それぞれの自衛隊の航空機が使用する空域の調整や飛行経路の管理を行うわけです。

また、航空機の航行と地上部隊の歩兵、砲兵及びミサイル部隊の作戦によって友軍相擊を避けるため射撃規制の調整も実施します。

ここでは、これ以上の具体的な情報は開示しませんのであしからず。

それぞれの規模の部隊が展開して作戦を行うためこの業務は非常に複雑となります。

更に、日米安保により、日本で何かあった場合は自衛隊と米軍が共同で作戦を実施することが考えられます。

そこでそれを念頭に様々な共同訓練が行われています。

陸上自衛隊は、米陸軍及び米海兵隊と実動及び指揮所演習を年に数回行っています。

ですので、この空域統制は航空自衛隊・海上自衛隊のみならず米陸軍・海兵隊の空域調整統制担当官との調整が入ってきます。

これが、状況を更に複雑化させます。

このように、我々、管制官は通常の管制業務を日々こなしつつ、有事のため自衛隊としての訓練及び専門的知識を身に付け、調整業務等をこなしていかなければなりません。

以上のことから自衛隊の管制官と国土交通省の管制官はやってることが大きく違うのが分かると思います。

話を最初に戻したいと思います。


OJT担当教官、日々の管制業務そして演習に明け暮れていたある日のことでした。

管制隊長に呼ばれ「何かな?」と思って出頭したところ、「今度の日米指揮所演習には、空域調整統制陸曹として参加してもらおうと思っている。で、うちのセクションは通訳がいないのでお前やってくれ。」となんとも無謀なお達しが来たのです。

「通訳?発音は頑張ってるから良化してきたとは思うけど、文章は話せないなあ。でも、主たる任務は調整統制だし。大丈夫でしょ。なんくるないさ~。」と軽く、本当にかる~く考えていました。

それに、米軍と仕事をするというだけで、恒常業務(管制業務)から抜け出して、なにか特別なステージに上がるような気がして非常に興奮していたのを今でも思い出します。

早く、参加したいと心は勇んでいました。

が、ここに大きな落とし穴があったのです。

続く