GCA着陸誘導管制技能試験合格! | 熱血講師 ショーン 近藤 Leadership & Language Boot Camp

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GCA着陸誘導管制技能試験合格!

ブルーインパルスの飛行訓練再開までの道のりは長いものでした。

結局、彼らが飛行訓練を再開できたのは、翌年の2月だったのです。

ブルーの所属する第4航空団第11飛行隊は、復活まで大変な道のりを歩まなくてはなりませんでした。

パイロットの養成が喫緊の課題だったため、元ブルーのパイロットが教官で招集されました。

また、新たな機体の取得もそうでした。

早目に飛行訓練が再開できたのは航空救難隊です。

任務の特性上、彼らは、自衛隊機だけではなく、様々な救難事案に対処しなければならないため、国、自治体からの理解及び承認を得て飛行を開始することができました。

しかし、実際に飛行開始できたのは事故から数ヵ月後でした。

次に飛行訓練を開始できたのは第21及び22飛行隊で戦闘機パイロットの育成部隊です。



(画像と文章は関係ありません)

この長い飛行停止期間、パイロット達は、ただ安全施策について頭を悩ませていただけではありません。

教官パイロットはシミュレーターを使って飛行訓練を実施していました。

そこに、我々管制官も呼ばれ、実際にGCAのシミュレーション訓練を実施したりしていたのです。

このような状況の中、関係自衛官は飛行再開のため実際に航空機が飛行していない間も日々奮闘し、皆飛行再開を目指しておりました。

やがて、それぞれの部隊の訓練が再開され、長かった飛行停止期間を終わりを告げたのでした。

私は、その間もひたすら先輩及び同僚自衛官からシミュレーターを使ってのマスリカバリー(多数の航空機が一気に帰投する状況を故意に生起させ訓練する)の訓練を実施しておりました。

管制用語の練習も何回も、何回も繰り返し、航空法と管制方式基準との整合性を頭の中で作り上げていました。

管制技能試験は、実技を先ず試験官が実視、その後口述試験に移ります。

実技試験で管制技術が合格基準に達していないと判断された場合は、口述試験が見送られます。

口述試験において質問されるのは、技能に関する法的根拠は勿論、実施根拠、及び松島飛行場における局地的な規則等について細部にわたり質問されます。

全て口頭で答えていかなければなりません。

そして、最後に筆記試験が行われます。

この筆記試験はGCA業務に必要なチャートを何も見ることなく自分の記憶を頼りに丁寧に書き上げていきます。

これがかなり大変です。

時間管理が非常に大切で、規定時間内に全てを書き上げなければなりません。この試験内容をクリアできるように実技、・航空法・管制方式基準・局地規則、筆記試験対策、全てを平行的に勉強していく必要があります。

特に実技に関しては同じ状況は発生しませんから、いかなる状況にも対応できる技術を持たなくてはなりません。私は、それまでの臆病だった自分を封印し、自ら進んで席に着き、指導を恐れず謙虚に教えを請い奮闘していました。

そして、3月、試験の日がやってきたのです。

当日は、私の他に管制幹部であるK2尉、ターミナルレーダー及び進入管制を受験する空曹1名と私の計3名が受験することになっておりました。

私を担当するのはM女史で、管制官として多くの飛行場(成田空港を含む)での勤務の経験を持つ方でした。

実技試験時の彼女の視線は鋭く、実に細部にわたり航空機のレーダーターゲットの動きと私の管制指示を丹念に観察しておりました。


GCA着陸誘導管制とは、主に軍用機に対し行われる着陸のための管制です。民間機は、希に自衛隊運用の飛行場の場合で民間と共用となっている飛行場(小松等)ではGCA着陸誘導管制により着陸することがあります。

通常の民間航空機はILSという計器着陸装置を使って着陸します。

これは、コックピットに装備されているスコープ上の表示に自機の姿勢・高度を合わせながら進入していく方法です。


GCAは、管制官がへディング(進入角度)及び降下高度に関する指示及び風の情報、着陸地点までの距離、そして着陸に関する指示及び関係航空機に関する情報が提供されます。

このGCAの場合、特に悪天候の場合は、パイロットは滑走路を視認するのが困難ですので、管制官からの無線指示によって航空機を操縦しなくてはなりません。


GCAの場合は、管制官と操縦士との呼吸が大事になってきます。

管制官はレーダーターゲットの動きを見ながら早め早めに指示を出して航空機を滑走路に誘導します。

また、最終進入において速度を落として飛行している航空機に対する風の影響も大きいため、管制官は風の動きに関しても神経を尖らせます。

このように、管制官のみならず操縦士の技量も安全な航行に重大な影響を及ぼすのがこのGCAです。

また、管制官は5秒以上の無交信状態を作ってはいけません。

ですから、管制官は話っぱなしの状態です。

言わば、ILSは、きちんと操縦士が自分の判断で航空機の高度及び姿勢を調整するので、自動車を自分で運転するような感じになります。GCAの場合は、目をつぶって助手席の人の指示に従って運転するという感じかもしれません。この2つの誘導方式には大きな違いがあると思います。


IDIOMブログの記事でも書いたback-seat driverの指示に従って操縦しなければならない状態です。

結構怖いですよね。

雲中飛行なら尚更怖いです。

計器と管制官の指示を信頼して操縦するしかないわけですから。


GCAの話は、このくらいにして試験の話に戻します。


M試験官は、合計3機分のアプローチを実視しました。


3回のアプローチのうち2回は自信を持つことができましたが、1回は、80点かなという出来でした。

その後、M試験官の指示で口述試験に移行する旨が伝えられたため、実技は合格という確信が持てました。

口述試験も持てる力を振り絞り、95%は満足できる回答をすることが出来たと思いました。

航空法や管制方式基準については、法律の文言と一字一句違わないように答えなくてはなりません。

本当に、これが一番きつかったと思います。

そして筆記試験。

これも無難にこなし、試験終了間際にM試験官から口頭で合格の内示を頂くことができました。

後日、328日付で着陸誘導管制の資格が付与されたのです。

この合格は、私の陸上自衛隊への復帰を示唆するものでした。

私は、この松島基地で学んだこと、経験したことを陸上自衛隊で普及していこうと考えていました。

一連の忌まわしい事故からの教訓、そして航空自衛隊で行われている航空管制で陸上自衛隊で行われている航空管制の足りない部分を埋めていきたいと考えていました。

そして4月、陸上自衛隊霞目飛行場へ帰ったのです。

この年、私は30才になっていました。

ここから、34才で陸上自衛隊の英語道の登竜門の門戸を叩くにいたる事件が起きるのです。

続く