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 この本は、27歳で山にて遭難死した著者の詩集です。世界60ヶ国を旅してキリマンジャロやヒマラヤで撮影した写真と、その時々にノートに書き込んだ詩を1冊の本にしたものだそうです。

 2010年7月17日。1人の青年が槍ヶ岳・北鎌尾根で遭難しました。7月21日には周囲の人たちによって捜索が始まったようですが、奇しくも22・23日に北鎌尾根に入っていた私は、下山後に北鎌の様子を投稿していたYou Tubeを通じて彼の家族から情報提供依頼の連絡を受け、連絡のやりとりをしたことがありました。

 その後、彼は雪で山が閉ざされる直前の9月26日に北鎌沢左俣にて発見され、10月10日に遺体や遺品の回収がなされ、肉体と魂は無事ご家族の元へ戻りました。このままでは春まで1人冷たい雪の中で過ごすことになるのかと心配していましたから、情報提供をさせてもらった身としてもホッとしたことをよく覚えています。
 遭難の原因は、北鎌沢の右俣に入るべきところを左俣に入り、天狗の腰掛の下部にあたる沢の上部にあったシュルンドに落ちたものと推測されました。まあ原因自体については、北鎌沢を左俣に入ってしまうのは事前のリサーチが不足していたか不注意だったと言われても仕方ないかもしれません。

↓北鎌沢右俣


 事件から5年経過した最近、ひょんなことから先ほど紹介した遺稿とも言える詩集が2012年に発行されていたことを知り、また世界60ヶ国を旅していたこと、北鎌行きがマッターホルン遠征の練習であったこと等も知りました。

 27歳の若さで逝ってしまうとは世界を旅している時には思いもしなかったでしょうが、私自身も学生時代は旅好きの1人としてあちこち旅をしたし、書かれている彼の詩の内容は当時世界各国を放浪した時に感じたこととラップする部分もあり心情はよくわかります。

 その後、彼が住んでいたアパートにご両親や仲間が集まって賑やかにパーティーをしたりしている様子もネットで確認できましたが、果たして万一私が遭難した時はこんなパーティーを開いてもらえるのだろうか、なんて考えたりしましたけど(笑)、彼も天国で仲間がパーティーしてくれたり、このような詩集が発行され多くの人の目に触れたことは喜んでいるのではないでしょうか。少なからず関わりを持った身としては、大変嬉しく思った出来事でした。

↓独標の逆コの字


 この年は9月にも1人北鎌で遭難され、実はこの方の家族とも後々接点を持つことになったのですが、未だに見つかっていないので失踪扱いになるとのこと・・・
 これら一連の件で遭難すればどれほど周囲に迷惑と心配をかけるか等を肌で感じました。1歩間違えば自分が遭難していたかもしれなかったので、やはり登山は安全第一だなと思います。

 でもノド元過ぎればまた“危険な匂い“に惹かれてしまうんですけどね・・・(笑)
 「孤高の人」で有名な加藤文太郎、「風雪のビバーク」で有名な松濤明など数多くの登山家を飲み込んできた北鎌尾根。であるが故に伝説が伝説を呼び、多くのクライマーや登山家を呼び寄せるんでしょうか。

↓P13