・参院選で自民党が歴史的大敗 ~参院選総括 ”安倍政権、そして民主党は今後どうあるべきか”~ | アジアの真実

・参院選で自民党が歴史的大敗 ~参院選総括 ”安倍政権、そして民主党は今後どうあるべきか”~

 参院選の結果が出ました。当選が自民37、民主60。参院の総数では与党105議席、野党137議席と、大きく過半数を割ってしまいました。予想されていたこととは言え、今後の政治に大きな混乱が予想されます。以下に私なりに今回の選挙に対する総括を書いて見たいと思います。


・結果と敗因

 まず結果を私なりに分析して見ますが、自民党の敗因は「タイミングが悪かった」に尽きると思います。安倍首相が総裁選時から掲げている公約や就任後の実績は決して悪くありません。それらへの不信任で、今回は自民へ票を入れなかったという人は少ないでしょう。

 それ以上に、選挙直前に、宙に浮いた年金記録があったこと、社会保険庁のあまりにずさんな管理、労働体制が明るみに出たこと、そして閣僚の自殺や不用意な発言による辞任が相次いだこと。これらの問題が選挙直前に起こってしまった為に、政権政党である自民党への国民のマイナスイメージが拡大してしまい、それが選挙期間中に集中してしまった。民主党が支持されたのではなく、自民への批判票という形で民主党へ票が移ってしまった。これが自民党の敗因と捉えて間違いないでしょう。もしこれらの問題が起きる前、もしくは1年ほど後で、純粋に安倍政権の公約や実績などだけが評価される選挙となれば、結果も変わってきたことと思います。


 また、マスコミが民主党を必要以上に煽ったのも原因の一つかもしれません。以前も書きましたが仮に年金問題が争点であれば、社保庁のずさんな管理・労働体制を作った元凶の一つである自治労の支持政党は民主党であり、また民主の比例区では自治労の大物が立候補している。こんな政党に年金問題に対する支持が集まるわけはないのですが、それが報道されることはほとんどなく、ただただ年金問題で政府の支持率が下がり、民主の人気が高まっているというデータのみを毎日繰り返し聞かされました。


・安倍政権の今後

 結果がこうなってしまったのは仕方ありません。今後どうするかですが、安倍首相の続投に私は異論はありません。安倍首相に責任があるのは事実です。別に辞任することだけが責任の取り方ではありません。責任を取って、政府と自民党の信頼を回復する為に注力していただきたいと思います。総裁選で安倍氏を支持した人のみが報われたと当初から言われていた内閣を改造することで、閣僚の不祥事と決別させる強い態度を示すのも良いでしょう。また今後の年金問題に必至に取り組むのもちろんです。しかしそれだけではありません。安倍氏に期待されていることはもっと別のところにあります。憲法改正、外交問題等等、”戦後レジュームからの脱却”。当初からの公約であるこれをしっかりと推進していって欲しい。これは、今後、日本の生きていく方針を決定付けて行く重要な分岐点であり、これを止めてはいけないのです。

 年金問題はもちろん、統合的にこれらのことが成されれば、国民の信頼は再びついて来るはずです。


・民主党の今後のあり方

 そしてもう一つ問題は参院で第一党となった民主党のあり方です。衆院で与党が2/3を占めている事実は変わらず、重要な法案はこれまで通り衆院を通過するでしょう。しかし参院での通過をことごとく止められる可能性があります。仮にそうなっても衆院に差し戻しで法案は通すことはできますが、全てにおいてそれをやるのは実質的に難しいでしょう。衆院は通過するが参院では絶対に通過しない。毎回衆院へ差し戻し。これでは日本の政治は大混乱となります。結果的に衆院通過時に、参院でも通過しやすいような妥協に妥協を重ねた法案の作成をする傾向に陥ることも考えられます。

 民主党は、これまで政府を批判することに全精力を掲げてきました。それしかしてこなかったと言っても過言ではないと思います。しかし参院第一党となった今、今後もそれを続けているだけでは国民の支持はついてきません。こうなったからにはそれなりに政治に対する責任も生まれます。外交問題や憲法問題等、今後の国の指針を決めるような重要法案に関しては、自民党の案だからNOという態度ではなく、しっかりと内容を吟味した政治をして頂きたい。それができず、ただただNOを叫ぶだけの政党であれば次回の選挙では逆に大幅に議席を失うことになるでしょう。


・国民の政治と選挙への関心度合い

 長くなりますが、他にいくつか気づいた点を書きたいと思います。

 まず東京選挙区で当選二回の保坂氏が落選して、あわよくばと自民党が出馬させた丸川氏が当選してしまったのには驚きました。丸川氏は最後の方は近年の選挙には行っていなかったことが発覚し、ひたすら謝っていたことしか印象にありません。別に丸川氏を責めるわけではなく、当選したからには頑張って欲しいですが、正直、多くの国民にとって政治や選挙へ対する関心などこの程度なのかと落胆を感じました。年金問題へ批判を言いながらも、何も知らずに民主党へ投票する人が多かったのもそれを裏付けているように思えます。


・新風について

 また新風は、一議席を取ると意気込んでいたようですが、残念ながら言い訳も出来ない程の得票数となりました。自ら”極右”と名乗り、核武装という文字を前面に押し出していては仕方ありません。その他の主張が良いだけに残念ですが、以前の記事 で、それが新風の持ち味であり、こうでなかったら新風の存在意義はない。という意見も多く頂きましたが、これでは国民はついてこないことが証明されました。このままでは次回の選挙でも同じ結果となるでしょう。素晴らしい主張はそのままに、政策をもっと丸くスマートにし、出直してみてはいかがでしょうか。


長くなりましたが今回の参院選の結果を見て思いついたことを書いてみました。


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参考書籍:

なぜか誰も書かなかった民主党研究
田村 重信
4880861820


民主党はなぜ、頼りないのか 不毛の二大政党制の根源を探る
田村 重信
4880862126