4層目の設定も考えた? 東野圭吾 「ある閉ざされた雪の山荘で」 | 映画と音楽のある生活

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 原作を読んだことは無く、タイトルを聞いて当作にも小道具として出てくるクリスティの「そして誰もいなくなった」を連想した。閉ざされた雪の山荘で殺人事件が起きるのであれば、同じく舞台劇の「マウストラップ」がある。余程、意外なトリックでも使わなければ、このクリスティの二つの作品の亜流としてブーイングを受けると思った。

 ところが、当作の舞台である別荘は、雪で閉ざされていない。朝日を浴びながら庭でラジオ体操が出来るくらいだ。演出家が劇団員にオーディションの条件として、「外部に逃げたり、連絡を取った者は脱落者とみなす。」と命ずることで心理的なクローズトサークルを作っている。

 やがて、オーディション劇の演出と思われる殺人事件が起き、状況を示すメッセージが壁に投影される。そして、殺されたと設定された劇団員は別荘から失踪するのだ。この状況を作ったのは何者なのか?そして、その目的は?

 さすが、東野圭吾原作だけあってナゾ解きは2重~3重構造になっている。私は、ラストで当作が舞台劇として演じられいるのを見て、実は全て劇中劇の架空の設定であり、視聴者はそれを映画として見ているという設定もアリだと思った。

 登場人物として若手の人気俳優が出演している。間宮祥太朗、中条あやみ、西野七瀬に森川葵等だ。ファンであれば謎解きは別で楽しむことが出来ると思った。

 「ワイルドスピード森川」が交通事故で半身不随となる被害者役を演じていた。いつになく重苦しい演技が新鮮だった。

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