ラストのシーンは必要なのかな?(ネタバレあり) 妻夫木聡・安藤サクラ「ある男」 | 映画と音楽のある生活

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 安藤サクラが出演しているのでアマプラで視聴した。彼女は、どれだけ人気者なのだろう?もう彼女抜きで日本の映画界は成り立たないのではないか?

 しかし、当作の主人公は彼女の事故死した再婚相手の調査を依頼された弁護士(妻夫木聡)だ。

 離婚の傷心を抱え実家に帰った女性(安藤サクラ)は、家業の文具店に絵画道具を買いに来る不思議な男性(窪田正孝)に心惹かれ再婚する。長女も生まれた二人だったが男性は職場である林業の現場で事故死してしまう。しかし、葬式に来た彼の兄から死亡した人間は、本人の名前を騙った別人だと告げられる。依頼を受けた弁護士は、その「ある男 X」について調査を始めるが、、、。

 弁護士自身も「在日」というルーツを持っており、それを引きずっていることを、服役している戸籍交換ブローカー(柄本明)に見抜かれて罵倒される。

 「ある男 X」の正体も分かり、物語はラストを迎える。ラストシーンで、弁護士(妻夫木聡)は、行きずりのバーの客と身上話をする。その身上話は、自身のものではなく調査した「ある男 X」の物だった。名前を聞かれた弁護士が名乗ろうとするところでエンドロールを迎える。

 普通に考えたら彼は、「ある男 X」の名前を言うのだと思う。ラストに絵画の「複製禁止」が改めて登場する。

 この絵の不思議なところは、鏡に自分の姿を映せば正面の姿が映る筈で、この絵の様に後ろ姿が映ることはあり得ない。

 これは、自分のレッテル(特に差別対象となる)「在日」や「殺人犯の息子」等に囚われると、自分の本当の姿が見えなくなるということの比喩だろうか?