配役が生きている。安藤サクラ「バッドランズ Bad Lands」 | 映画と音楽のある生活

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「万引き家族」から安藤サクラが好きになった。美人だし、きっとお嬢様なんだと思うけど、何故かヤンキーがハマり役になっている。

 今回は、オレオレ詐欺の受け子のリーダーである通称「三塁コーチ」だ。冒頭、大阪府警のおとり捜査を見破って金の受け取りを中止し現場から立ち去るが、大阪府警も防犯カメラを分析して彼女が左耳に障害があることを察知する。

 彼女には腹違いの弟ジョー(山田涼介)がいるが、こいつが無鉄砲なサイコパスでバクチで借金をしたり、ヒットマンで失敗したりお姉さんのお荷物的な存在になっている。

  この弟ジョーは、途中でとんでもない行動に出て、それが姉弟に大金をもたらす。そして、その大金に裏社会の人間たちが群がって来る。警察と裏社会の両方から追われる立場となった姉弟は大金を持って無事に逃亡することが出来るのでしょうか?

 全編、約2時間半の作品は、私の様なシニアには見るのを躊躇させるが、ストーリーがダレることがないので、苦痛なく見ることが出来た。

 感心したのは、それぞれの配役が生きていることだ。主人公の二人はもちろんだが、わきを固める宇崎竜童もハマっている。もう彼のことを「ダウンタウンブギウギバンド」という人は居ないんじゃないか?天童よしみが、ちょっと残念だけど、彼女の役は大阪弁の「おばはん」であれば良い訳だから、頭にカラーを付けた姿で警察の家宅捜索を受けるシーンで十分価値を発揮していると思う。

 中でも凄みを出しているのが、賭場の女主人で仮想通貨の「両替商(?)」を演じた「サリングロック」という女優さんだ。ラストまで見ていると、彼女が一番ワルで最後に泳がせておいたネリ姉弟の上前をハネている様に見える。そんな相手に主人公のネリ(安藤サクラ)が現金化できない不要な通帳を投げて保険を掛けるのは痺れるシーンだと思った。

 ひょっとすると今年見た邦画の中で一番おもしろかった作品かもしれない。

 原田真人監督は、ググってみたら「ラストサムライ」で実業家で大臣の「大村」を演じたそうだ。「大村」は英語も堪能にしゃべるのでハリウッドの日系俳優かと思っていたら監督さんだったのですね。どうりで存在感が抜群だと思いました。