是枝裕和監督も園子音監督と同様に、実際に起きた事件にインスピレーションを得て作品を作ることがあるようだ。
「万引き家族」も親の年金で暮らしていた無職の子供が親が死んだのを隠して年金をもらい続けた事件からヒントを得たのかもしれない。
当作は、病院での子供の取り違えをテーマにしている。最近では、聞かなくなったがベビーブームの頃は何度かそんな事件を聞くことがあった。ただ、その後に家族がどうなったか?また、子供はその後どのような生活を送ったか?等は、ほとんど報道されないし、私自身考えたこともなかった。当作は、その部分にスポットを当てた作品である。
エリートサラリーマンである主人公(福山雅治)は、自分の子供が他人の子供と取り違えられたと突然に病院から知らせを受ける。葛藤しながら、取り違えられた相手の夫婦(リリー・フランキー、真木よう子)や自身の本当の子供と面会する。病院側の勧めもあり、ぎこいないながらも自身の本当の息子と交流することになるが、それは自分の子育てや人生観、そして妻との関係も改めて向き合うことになるのだった。
どちらかと言うと下に見ていた相手夫婦が実は子供とうまく行っていたり、妻からの反発を受けながら、主人公は少しずつ自分の足りなかった部分に気付いていく。
特筆すべきは、子役の使い方だ、特に福山雅治家で育てられた慶多(本名同じ)の演技は素晴らしいと思った。
是枝監督は、子役を使う名人なのかもしれない。
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