普通にファンタジーとして見れば。宮崎駿監督 「君たちはどう生きるか」 | 映画と音楽のある生活

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正直、見に行く気は殆どなかった。なぜなら「ハウルの動く城」以降の宮崎駿監督作品は、全て面白かった訳では無く、また

タイトルが「君たちはどう生きるか」というのも、なんだかベタな問いかけだと思ったからだ。中学生の時に原作と思われる小説も読んでいたが、この小説がアニメの原作になると思えなかった。盆休みの後半、台風の為に他の予定が全てキャンセルとなり、映画館に出かけた。

見終わった感想は、なんとなく「千と千尋の神隠し」に似ているという印象だ。ストーリーとしては太平洋戦争中に父親の仕事で地方に転居した少年が、継母との関係もギクシャクし、変な「サギ男」の誘いで離れの洋館に行き異次元の世界に迷い込むと言うもの。「千と千尋の神隠し」と違う部分は、全体的に重苦しいことと、どこか観客を突き放したイメージがあることだ。

 10年ぶりの宮崎駿監督作品というと、もっと大々的に宣伝を行うべきと思うが、与えられたのは上記のポスターだけだった。作戦としては観客動員数も順調らしく、この戦略は成功している様に思う。ただ、私も含め宮崎駿監督作品ならとりあえず見ておこうと思った人が多かったのではないか?実際、作中で出てくる13個の積み木が同監督の作品数と一致している比喩だという意見があるが、それはともかく、私は13作品全てを映画館で視聴している。

 いろいろ当作については意見がある様だけれど、個人的には「普通にファンタジ―アニメ」として見たらいいのではないかと思う。古典的な童話の「アリスの不思議な国」を思い出すと、ウサギが「サギ男」で主人公が不思議な世界に迷い込む訳だから個別に意味することを深堀しなくても構わないと思う。アリスのトランプの兵隊が、オオム大王と思えば納得できる様な気がする。

 宮崎駿監督も80歳を越えたご年齢だから、小学生の時に「長靴を履いたネコ」を見た自分としては、いつまでもお元気で居て欲しいと思う。そして、おそらく次回作は流石にもう無いだろうと思うことだけだ。

                                          イオンシネマで視聴