アート系って何?(ネタバレあり)ダリオ・アルジェント 「サスペリア」 | 映画と音楽のある生活

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 公開当時に「サスペリア」も「サスペリア2」も映画館で見た。当時の感想としては、「サスペリア2」の方がお話しと

して良く出来ていると思った。

 「サスペリア2」は主人公が殺人現場で見た強い違和感や(殺人鬼が最初から顔出ししているというオチなんだけど。)繰り返し挿入される子供が父親を刺殺するシーン等の伏線が全て回収されていた。

 ところが、当作ではバレエ学校に巣くう様々な謎があるが、最初の被害者の「アイリス」という謎の言葉も、あまりにも簡単に種明かししてしまう。

 そもそも、予告編で「バレエ学校に魔女が居て、生徒達を呪い殺していた。」という予備知識を持って視聴すると、結局ストーリーは、それしかなかったという感想になる。

 それであれば、姿を見せない殺人者等と回りくどい事をせずに、最初からオカルト色を満載にしたら良いと思った。

 特筆すべきは、バレエ学校の赤を中心とした内装の豪華さや、挿入される「ゴブリン」の不気味で不快なサウンドだろう。

 評論家も書いていたが、当作では血の色がかなり鮮明に表現されている。赤よりもピンクに近い色だ。実際の血の色は、もっとドス黒いと思う。

 アート系というのだろうか、当作を見て園子温監督のAmazonプライムオリジナル作品の「東京バンパイアホテル」を思い出した。同作品のホテルの色調も当作に通じるものがある。

 日本では、冒頭の雷雨のタクシーの窓に、人の顔が偶然映っている事が話題になったが(実際、不気味さを盛り上げる演出だったそうだ。)映像だけでなく、もう少しストーリーにふくらみを持たせたら、さらに傑作になると思った。

            アマゾンプライムで再視聴