呪怨「オムニバスにすると何度でも怖がらすことができる。」 | 映画と音楽のある生活

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 「呪怨」は「リング」と並ぶジャパニーズホラーの代表作だ。いずれもハリウッドでリメイクされて、キャラクター同士が対決する「貞子vs伽椰子」まで作られた。まさに「ジャイソンvsフレディ」のノリだ。

 伝統的な日本の怪談の幽霊は、恨む相手がいるから出てくる。だから幽霊は「うらめしや~」と言うのであって、裏に食堂がある訳ではない。(?)

 ところが「呪怨」に出てくる女性達は、ほとんど当人の落ち度はない。呪いの家に関わりを持っただけで、さんざん怖がらされた挙句、向こうの世界に連れていかれるのだから合わない話だ。

 その点では、ハリウッドの「田舎に若者グループが行ったら順番に殺された。」に似ている。演出的にも殺される若者の数だけ、観客を怖がらせることができる。「呪怨」は伝統的な因果応報はなくて、ストーリーで怖がらせるというより、お化け屋敷の様なシカケの連続で恐怖を盛り上げている。ベタなシーンの連続に、ともすれば笑ってしまう。

 化けて出てくる幽霊の小話で、思い出すのは阿刀田高の「ブラックユーモア入門」で出て来たネタだ。意地悪なお姑さんにイジメられて死んだお嫁さんが、むしろ親切にされた小姑さんのところに化けて出る。小姑さんも優しくしたのに化けて出られたのでは腹が立つと「化けて出るならお母さんのところに出なさいよ。」というと、幽霊は「だって義母様は、私コワいので、、。」と答えたそうだ。

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