小松左京のベストセラーの映画化です。当時中学生だった私は父親が買って来た原作も読んでいた。その頃、国内のSF作品が好きで星新一、筒井康隆、平井和正の作品はほとんど読んでいたが、小松左京は苦手だった。要するに理屈っぽいからだと思う。そもそも、この作品も「日本人が国土を失ったら民族として>どのように生き残るか?」というテーマで執筆を始めたとのこと。
当時の評論家は、もし星新一や筒井康隆なら「ある日、日本は突然沈没した。そして、、、。」と1行で終わらせるだろう前段を上下巻の大長編にしてしまうのが、さすが小松左京だと評した。
もちろん映画も見たけど、東宝の特撮映画なのに怪獣が出てこないのが不思議だった。
今回NHKのBSで再視聴したのだけれど、どうせならこの時期ウイルスが起こすパニックを描いた「復活の日」を放映して欲しかった。
そう思えば、小松左京は偉大な作家だと思う。「日本沈没」で東日本大震災を始めとする大災害を、「復活の日」でウイルス感染の脅威を予言し、「アメリカの壁」もトランプ大統領を連想させる。
ある意味、同じ「日本」がタイトルにあっても、1年前に出版された田中角栄元首相の「日本列島改造論」への強烈なアンチテーゼになったのではないかと思う。今にして思えば、その年に起こっていたオイルショックとも相まって、日本の高度成長期は完全に終わっていたのだと思う。