横溝正史の原作は、ブームの時にだいたい読みましたが、この「女王蜂」は読んだことがありませんでした。
映像化された作品を見るのも初めてなので、BSの放映をリアルタイムで視聴しました。
公開当時話題となったのは、この作品が著名な俳優の長女である「中井貴恵」のデビュー作であることでした。当時、彼女は20歳の早稲田大学の学生で、同時にタイアップしたカネボウの口紅のCMにも抜擢されています。
今では、女優業を休業して弟の中井貴一の方がはるかに有名になってしまいましたが、この作品では初々しい演技を披露しています。
やっぱり、この作品のウリは、豪華俳優の競演でしょう。高峰三枝子、岸恵子、司葉子の過去作品の犯人勢ぞろいに仲代達矢まで加わるのだから豪華ですよね。脇を固める伴淳三郎や三木のり平もちゃんと仕事をしています。旅館の女中に坂口良子が出てくるのは特別出演ですね。
疑問に思ったのは、古い写真を見て犯人を「コウモリ」と例えるのは「悪魔の手毬唄」のネタじゃなかったでしょうか。旅回りの芸人という設定も一緒です。今から横溝作品を読み返す気力もないのでお分かりの方はご教授をお願いします。
舞台となる古い時計塔の洋館の佇まいなど、画像もよくできていると思いましたが、冒頭の死体が時計のギアで切り刻まれるのはドギツイだけで、不要な演出じゃないでしょうか。ある程度、カメラアングルで全部見せずに工夫できると思いました。
今では、「涅槃」に居るだろう沖雅也が、相手役として出演しています。
NHKBSで視聴