野獣死すべし 「ひたすら不気味な松田優作の演技」 | 映画と音楽のある生活

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 大藪晴彦の原作を映画化したカドカワ映画である。

前年に同じ村川透監督で「蘇る金狼」も映画化されたが、ほとんどイメージがかぶっている。

 松田優作が10kgダイエットして奥歯を抜いて頬をこけさせたというが、その後の爬虫類的な表情の演技は「ブラックレイン」まで、よく似ている。

 この作品、個人的に一番いいと思うのはヒロインを小林麻美が演じていることだ。一時期、彼女は「いい女」の代名詞の様に化粧品のCM等に出ていたが、ともすれば痩せすぎて病的な感じがした。この作品の中では純粋に奇麗だと思う。

ストーリーは松田優作演じる伊達が銀行強盗をして偶然現場に居合わせた小林麻美を射殺するまでは良かったが、その後、一気に内容がフェードアウトしてしまう。

 主人公の伊達が戦場カメラマンで悲惨な現場を見て来た経験から精神を病んだというのも陳腐な設定で原作者が怒るのではないかと思ってしまう。

 またラストも訳が分からず、風吹ジュンに刺されて不覚をとり飛行機の機内で目を開けたまま死ぬ「蘇る金狼」の方がよかったと思う。