時計仕掛けのオレンジ「現代風刺のサイケデリックな世界」 | 映画と音楽のある生活

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スタンリーキューブリック監督作品である。私より少し上の年代の人で、この作品を若い頃に最も影響を受けた映画としてあげる人が多い。最初見たときは難解で趣旨がよく分からなかった。

とにかく印象に残っているのが主人公アレックスの無軌道な暴れぶりと、伏字だらけの独特の隠語だった。

 今見返すと、その映像センスは時代を超越している様に思える。

有名なポスターもその一つである。

 ストーリーは、不良で暴力的な若者アレックスが仲間の裏切りにより一人だけつかまってしまう。政府の主導で更生プログラムとして暴力に嫌悪感を抱くように洗脳されて釈放されるが、それは新たな地獄の始まりだった。やがて政府の非人道的行為が非難され再度更生させられる。再び暴力に目覚めるアレックスに逆洗脳をした医者や看護師が拍手する姿は最高のブラックユーモアだろう。

 見どころの一つに、有名な「雨に唄えば」テーマに合わせて、親切に家に入れてくれた老夫婦を暴行するシーンである。とにかく滅茶苦茶で「雨に唄えば」も迷惑しているだろう。

 原作も映画に描かれなかった部分が一章付け加えられた新版が出ているが、私には蛇足に思えた。