シリーズ30作目となる82年の12月28日公開の作品とのこと。「盆暮れ」の「暮れ」の方である。寅さんを見ないと新年が迎えられない人たちはこれを正月休暇に見たのだろう。
テレビ東京のこの企画は、毎週順番に寅さん映画を紹介するというものらしい。今回この作品を見て、寅さんシリーズも007と同様、最初に3分程度のショートストーリーがあることを知った。冒頭では、ジュリーも加わり寅やのメンバーがミュージカル仕立ての寸劇を演じている。ジュリーがコントを演じるのを見ると「シャボン玉ホリディ」を思い出すのは世代だろうか。
シャボン玉ホリディと言えば、当時のジュリーの配偶者は「ピーナッツ」のお一人だったはずだ。そして、今回のマドンナが田中裕子であるのを考えると、思いは複雑である。
寅さんは、この頃から自身の恋愛から徐々に降りて行くことにしたのだろうか。前作のマドンナが少し影のある>未亡人の「いしだあゆみ」だが、年齢差を考えても、今回のデパートガール役の田中裕子が直接の恋愛相手になるのは難しいだろう。
結局、寅さんは「不器用な若い二人のキューピッド役」に徹している。
さすが山田洋次監督というべきか、京都出身の沢田研二にTVではめったに使わない関西弁を話させていて、これが気弱な動物園の飼育係の青年の素の感じを良く出している。
ラストの二人が告白をする観覧車のシーンもベタだが、ロマンチックだ。
余談だが、最近のジュリーの風貌を見ると、その激変ぶりに絶句してしまう。痩せると声がでないらしいが、往年の姿を知っている人は幻滅するだろう。活動の方向性を検討しても良いような気がする。
BSテレビ東京にて視聴