子供の頃、アガサ・クリスティの作品は好きでよく読んだ。多作な方らしく私も読んでない作品が沢山ある。名画座で「ミスティーの女王クリスティが自ら誇る最高傑作」という惹句にひかれて見たが、レイトショーでもあった為か館内のお客は私を含め2人だった。
原作は読んでいないので、映画を見た感想だけを率直に言うと「クリスティが自らこの作品を最高傑作」とは言わないと思う。
謎はあまり深まらないし、ラストの車が炎上するシーンはチープだし。推理小説のカテゴリーとしては、「意外な犯人」の中に入るのだろうけれど、もっと有名だったり傑作だったりする作品がある。
クリスティの作品は、トリックや犯人だけではなく人間描写に良さがある場合が多く、そこが映像化を難しくしているのだろうと
思う。
他にクリスティ原作の映画で見たのは、「ナイル殺人事件」「地中海殺人事件」「クリスタル殺人事件」たが、いずれも良いとは
思わなかった。「クリスタル殺人事件」がこの中では一番よかったが、この邦題はいただけない。当時、田中康夫の
「なんとなくクリスタル」がベストセラーになっていたのだろうか?普通に「鏡は横にひび割れて」の方が良かったと思う。
クリスティ映画でおなじみのオールキャストだけれど、私が知っていたのは、「危険な情事」のグレン・クローズに(この人が浴槽から生き返るシーンを、たまに悪夢で見る。)後で分かったスカーリー捜査官でした。