加えて、私自身も10月に出産を控えているため、並行して入院準備と、お互いにすぐに話せる環境である今のうちにベビー用品の選定を行っています。
夫くんの方はパジャマや下着、ポータブルテレビ(本当は持ち込みはダメですが皆さん持ち込んでいます、と看護師さんが言っていました)等々。まだまだ用意が必要です。
私が産休に入ってから夫くんの入院まで1週間ほどある見込みなので、ラストスパートは私の体が空く来週になりそうです。
夫くんの会社の方では入院の件が課内で開示されたようで、今は引き継ぎで忙しくしています。
でも、家に帰ってくるとやはり病気のことを考えてしまうみたいで、不安そうにため息をつきながら、落ち込んでいる姿がよく目につきます。
わかってはいるんです。
精巣腫瘍は癌の中でも抗がん剤がとても効く、数少ない癌であること。
なので転移しても、根治が見込める病気であること。
でも、それでも、「5年生存率」なんて言葉を耳にしてしまうと、
どうしても「死」を連想してしまうんです。
私はとても恐い。
万が一、抗がん剤が効かない僅かな部類に夫くんが入ってしまったら?
だって、10万人に1人の腫瘍を引き当ててしまったんです。
確立なんて、意味をなしません。
お腹の子ももう9ヶ月になりましたが、無事に、健康に産んであげられるのか、まだまだ不安です。
不妊治療をしてやっと授かった子だからこそ、一層不安になるのかもしれません。
私達夫婦にとって、「妊娠」は奇跡の積み重ねです。
だからこそ、これもとても恐い。
でも、今まさに病魔を宿している夫くんは、私よりもずっとずっと恐くて不安だと思うんです。
もしかしたら、自分が死んでしまうかもしれない恐怖。
だからたまに、
「俺が死んだら子どもをよろしくね」
と言われます。
「仕事はこなせるけどやる気が出ない」
ともよく呟いています。
きっと、会社では元気な振りをして頑張っているのだと思います。
家でしか、弱音は吐けないのでしょう。
夫くんが再発、と告げられたその日の夜、私は本人以上に落ち込みました。
夫くんに「そんなに泣かれると、俺も凄く申し訳なくなってくる…」と言われるほど。
私が落ち込んでいたら、不安そうにしていたら、夫くんが弱音を吐くことができる場所がなくなってしまう。
だから私は、夫くんの前では努めて明るくいよう!と決めたのです。
泣きたいときは、お風呂の中でひっそりと。
トイレにこもって、長時間になってしまったらお腹痛くなっちゃって!と言いながら。
声を立てないように、たまにこっそり泣いています。
とりあえず今は、夫くんの入院も出産もとても恐いけど、未来の恐怖よりも今やれることをしっかりと!と思って、着々と入院準備を進めるようにしています。
きっと立ち会いもできないし、入院期間がかぶってしまったらいつ子どもに会わせてあげられるのか検討もつかないけど、夫くんにも両親学級に参加してもらってもいます。
今は静かに、その時を待っています。