2019/07/18
京都市伏見区の映画製作会社で放火事件が発生した。
とても悲しい事件だ。
この事件に関して、愚見を述べたい。
私は病院の総務課で勤務しているが、もう1つの肩書きがある。
「防火管理者」だ。
防火管理者とは、消防法により学校や病院、工場や百貨店など、多数の者が出入・勤務・居住する防火対象物において、火災予防のために必要な業務を推進する責任者のこと。
防火管理者について
私も消防法に沿った消防訓練を計画して行ったり、点検に立ち会ったりしている。
日頃から、もし火災が発生したらどうなるか、どういう動きをしたらいいかを考えているつもりだ。
廊下が広く、階段に避難の邪魔になるものも置いていなかったりと、施設のストロングポイントも理解している。
もちろん、反対に弱点も理解している。
そんな私が最も恐れているのが「放火」である。
しかも、今回のように可燃性の液体を撒かれての放火だ。
施設としての対応力
私の病院では、なんらかの理由で自然発生的に火災が起こった場合、まずスプリンクラーが発動する。
ちなみに、スプリンクラーの初期消火の成功率は95%を超える。
防火戸も常時閉鎖式であり、煙と熱を遮断。
スプリンクラーで水が噴射され、別の階への延焼も防いでいる間に消防が到着し、本格的な消火活動が開始される。
施設としての対応力はこのようなところである。
甘く見通しているわけではない、設備としてこれが可能なのだ。
「自然発生的な火災」であればの話だ。
対応できない火災
問題は「可燃性の液体に火をつけた火災」の場合だ。
初期消火には抜群の威力を発揮するスプリンクラーも、発動はするが火に勢いがある場合すぐに消すことは難しい。
職員による消火器、消火栓からの放水で対応したとして、どこまでできるだろうか。
※ちなみに自力で消火不可能な境界線は、壁と天井に燃え移った段階である。
こうなったら煙を逃さないようその部屋の扉を閉め、逃げる必要がある。
このような火災が発生した場合、消防が到着するまでの間にいかにたくさんの人を火から遠ざけることができるかにかかっている。
法律による消火
今回の京都アニメーションの放火は、まさに対応できない火災である。
法律によるスプリンクラーの設置義務もないと思われる。(スプリンクラー設置基準)
しかし、これまでの火災による被害で、法律はその度に変わってきた歴史がある。
火災が発生。火災報知器が作動しても「通報」ができなかった火災があった。
その後、報知器が作動して一定時間経つと自動で消防へ通報する設備の設置を義務付けるよう基準が改正された例もある。
※病院や老人ホーム、など。
今回の火災により、何らかの改正がなされることを祈る。
スプリンクラーはもちろん、火と煙の延焼を防ぐ扉の設置や、万が一の時の脱出手段の確保などが今回の場合は当てはまるだろうか。
改正の目的は、二度とこのような事件が起こらないような未来のためだ。
これを読んでいただいた皆様も、ご自身の家、学校、職場で火災が発生した場合のシミュレーションをお願いしたい。
私も、防火管理者の一人として、職員に火災の危険性や、対処法などを全力で伝える使命があることを改めて実感した次第である。
(この度の火災に際し、心よりお悔やみ申し上げます。)
taji