私は2023年7月5日(水)にきらめき病院で腹腔鏡下大腸ガン切除手術を受けました。
同年6月にS状結腸ガンが発見された時点でStage IVでした。
このブログは、2023年6月にJ大学病院でS状結腸ガンが発見されたときにさかのぼって私のCancer Journeyを時系列に綴っています。今、2024年お正月までやっと辿り着いたところ。
でも、たまに、今現在のことを書いた記事を差し挟んでいます(例:2024年5月10日鑑賞の映画『恋するプリテンダー』の記事)。
そして、この記事も2024年5月11日現在の記事。
ある本をアマゾンで買おうとしていたら、笠井信輔さんの『がんがつなぐ足し算の縁』という本がたまたまま目につきました。
(アマゾンに掲載されている画像を拝借しました)
笠井信輔さんは、フジテレビの人気アナウンサーからフリーランスに転身した直後に血液のガンである「悪性リンパ腫」Stage IVが発見され、その後過酷な治療に果敢に挑まれて、「完全寛解」に至ったことは、スマホにAIが送信してくるネットニュースで知っていました。
『がんがつなぐ足し算の縁』は、「4か月半の入院・抗がん剤治療から得た「気づき」と復帰後の活動でさらに深まったがん患者とその家族・医療関係者との「共感」をシェアします」という帯がついているようでした。
彼が発信することなら、読むとポジティブな気持ちになれるかも、と思ってこの本を早速アマゾンで購入。
半日で完読しました。
辛い抗がん剤治療の途上で、笠井さんがした「心が明るくなる」小さな工夫の数々がわかったことは良かったです。
あと、たくさんの方々から彼に寄せられた声を紹介していました。
その多くは「共感」を示すものでしたが、例外もありました。
「私は息子をガンで亡くしました。笠井さんが寛解して元気に活動していることを読むと、どうして私の息子は死ななければならなかったのか、と辛い気持ちになります。妬みを感じます。」
私はその気持ち、半分わかります。
ガンサバイバーに対して「妬み」までは感じないけど、私のように「根治は難しい(=治せない。ガン発見から2、3年以内に死ぬ)と医師から告げられているガン患者は、寛解した人の体験談を呼んで「私も頑張ろう」とは思えません。だって、私とそういう人たちとは病状が違うんだから。
2023年11月のきらめき病院の受診で担当医から「白血病や悪性リンパ腫のようなガンは抗がん剤で治ることがあるけれど、ララさんのような固形ガンの場合は抗がん剤でガンが消えること(治ること)は1%ぐらいの確率しかない。」と言われました。
ファクトかもしれないけど、そのときは4回抗がん剤を入れた末にCT画像でガンが小さくなっていることがわかった瞬間だったので、担当医のこの言葉はあまりに厳しい現実をつきつけ過ぎという気がします。その瞬間からドキドキCancer Journeyを歩む私の心はネガティブシフトに入ってしまいました。
そういう体験をしている身としては、「寛解しました」と聞いても、「それ、固形ガンじゃないからでしょ。私とは関係無いよ」と思ってしまいます。
人によっては、憎しみさえ感じてしまうかも。
笠井さんは、「令和時代はできるだけストレスの少ない『我慢しない治療生活』を送りましょう」と書いています。
それは大賛成。というか、ララは最初からそうしています。
ララは、痛いときや気持ちが辛いときは医師の前で泣きます。
ララは、手の甲の血管に針を刺すとすごく痛いと入院中に研修医から聞いたので、手の甲に刺そうとする看護師さんには徹底的に「手の甲はやめて!」と叫びます。
ララは、CVポートを胸に設置する手術に関しても、「Awakeで手術するのは怖い。胸に傷がつくのが悲しい」と診察室で泣き、やっと手術をする決心をしたけど、局所麻酔で意識がある状態(Awake)で手術が始まったら、いろんな感情がこみあげてきてやっぱり泣きました。
このブログにはあまり書かないけど、抗がん剤の副作用は結構あります。特に、手足のしびれ(3時間正座して立ち上がった瞬間に感じるような強烈なしびれ)が24時間続くのは辛い。キーボードを打つ指先が痛い。近所のスーパーに歩いて行くだけで足の裏の皮がむけそうに痛いです。口の中の感覚も変わってしまい、何を食べても美味しくない。
私が体験している副作用はXELOX療法をしている患者によくある副作用のようなので、ある程度は我慢しています。でも、「もう無理」と思ったら迷わず担当医に言います。
Stage IVでも根治できる人もいるようです。でも、それも人によります。私のように肝臓・肺・リンパ節に多発転移していると、手術でガンを切除できません。特に肺は、あばたのように細かくガンがたくさん転移しているので、手術は無理。固形ガンは手術でガンを切除できないと根治は無理、と言われています。だから、無理に治そうとせず、上手にガンや抗がん剤と付き合っていくことを医師から勧められました。私もそれがいいと思っています。
根治の可能性があるなら、どんな辛い治療も一時的なことと思って、私は耐えると思います。
でも、私の場合は根治する可能性はほとんどゼロに近いです。だから、頑張って治療して根治した人や寛解した人の体験談は参考にならないし、むしろ気持ちが辛くなります。
そういう患者もいること、わかって欲しい。
一方で、笠井さんの発信は多くの人を励ましていることも事実なので、否定はしません。彼の気づきのおかげで、病室内のwifi普及率が高まったことは特筆に値します。厚労省などに熱心に働きかけてくれたようです。
彼のようなインフルエンサーが世の中を良い方向に導いてくれることを願っています。