最近の葛藤の中で思い出した楽曲。
BTSが作詞した曲ではないというのがアイロニックですが。
Stay Gold - BTS(방탄소년단)
このMV、実は Spring Day に次いで好きです。
と言いつつ、とにかく映像美を楽しむというだけであまり深く考えて観たことがなかったのですが。
廃墟で別々に物思いに耽っているメンバーが、金色に輝くコバエ(ハエではない!)に導かれて、紫色の桃源郷に達するというストーリーが印象的ですよね。
でもこの度改めて観ていて、この廃墟はいわゆる「色なき世界 = 一般社会」の比喩なのではないかと思いました。
メンバーそれぞれが各々の場所で、7人一緒だった頃の思い出に浸っている。
思い出はいつでもキラキラしていて、美しく、耳奥で笑い声がこだまする。
でもこの思い出、良く見ると、どうも舞台のようにセッティングされたもののよう。
だからメンバーはすぐに廃墟という現実に連れ戻される。
しかしそこに、どこからともなく現れる金色のコバエ。コバエ改め金の妖精は、窓の隙間から、床に空いた穴から、壁の亀裂から、さりげなく入ってきます。そしてメンバーを廃墟の外へと導く。
そこに広がっているのは、紫色の桃源郷。
これは思い出とは別の幻の世界。どんな時も自分の味方になってくれるファンで埋め尽くされた美しい景色。一般社会では理不尽な批判にさらされるようなことでも、ここでは受け入れてもらえる。
メンバーは笑顔を取り戻し、生きる活力を得ます。
景色を堪能するメンバーの脇で、木に触れるテテ。彼の手が紫色の藻に触れると、金の妖精がフワッと飛び立ちます。
要するに、彼らは、紫の優しさに触れると、金の妖精に象徴される何かを強く思い出すわけですね。
最後には廃墟に戻っていく妖精たちですが、彼らはどんな場所でも貫通して飛んでいき、メンバーの「色なき世界」を「耐えうるもの」にしてくれる。
この金の妖精は果たして何を象徴しているのか。
一言で言えば、トキメキなんじゃないかと私は思います。子供のイマジネーションのようなもの。あるいは自分を信じる気持ち。
子供という生き物は正直さゆえに残酷な一面もあるけれど、自分に失望させれたこともそうそうないし、子供の頃って誰しもが自信満々で、だからこそ自分の想像の世界を本気で信じていますよね。金色の妖精を常に数匹身に纏っているイメージ。
でも我々は、生きている間に、いつの間にか妖精を失っていく。一匹、また一匹と。
そのせいで、大切な世界を失ったりもする。昔はよく行き来できていたのに、いつの間にか閉ざされてしまったドア。たまに錆びたドアノブを回してみたりもするんだけど、子供の頃のように上手くはいかなくて。
金は柔らかすぎて形を保てないなんてことを学んで、合金に手を出したりして、新たな合金妖精の訪れを待ったりもする。
でも中には、いつまで経っても金の妖精を失わない人たちがいる。
MVに出てくる紫色の世界は、そんな金の妖精がいないと辿り着けない幻の場所だけれど、紫に触れると、金の妖精はどうやら倍になって自分たちのもとに帰ってくるらしい。
そういうものだということを、そういう人たちは知っている。
でも別に彼らが特別なわけではなくて。
誰でも金色の妖精を呼び寄せることはできるはず。
何度か見失って、形が崩れても、彼らは確かにそこにいるから。
セッティングされた美しい思い出に占拠されがちな心のドアを少しだけ開けてみれば、妖精は今すぐにでも飛んでくるかもしれない。
色なき世界の日常生活が辛くても。
Stay hungry
Stay gold
最後までお付き合いくださってありがとうございました♡
以前、Stay Gold について書いた時の投稿はこちら↓
PS ユンギの飲酒運転に触れた最近の一連の記事は、投稿日現在の報道をもとに筆者の気持ちを吐露したものです。事件の詳細や事実関係についてはご自分でご確認いただけると幸いです。なお、これらの記事を不愉快に思われたファンの皆様にはここでお詫び申し上げます。