先週入門した近所の小学6年生3人。
日本🇯🇵から8月に来る高校生のリンタロウの試合に合わせてデビューさせようと会長と考えている。
ビック、バンクの双子と、その同級生ナッモー。
ビック、バンクの2人は、両親が試合に出しても良い、と言っているので、楽しみだ。
タイ🇹🇭では、昔と違って、バンバン試合に出る本当のムエタイ選手を探すのは難しくなっている。
親は、危ない事をさせるより塾に行かせたい。
運動は、ちょっとお金のある所は、格闘技ならテコンドー、球技ならサッカーになって来ている。
拳一つで家族を支えて、と言う、ムエタイストーリーは、かつてのものになりつつある。
ムエタイは、貧しい者が這い上がる手段だったのが、フィットネスクラブのダイエットトレーニングとして、富裕層にも楽しまれるようになった。
チェンマイでは、本当のムエタイ選手になるのは、貧しい山岳少数民族の子だと昔から言われていた。
だけど、それも、山岳少数民族の中で、豊かになった人が増えて来たので、ムエタイ選手になりたい子を探すのは難しい。
そんな中、彼らには、自分は少々期待している。
と、言うのは、彼らが、タイヤイ族だから。
タイヤイ族は、今や、タイ社会の底辺を支えている、と言われる民族。
主に、タイ🇹🇭ミャンマー🇲🇲の国境地帯、ミャンマーのシャン州に多いと言われている民族である。
チェンマイの場合、出稼ぎ労働者と言えば、ミャンマー🇲🇲からのタイヤイ族がほとんどであり、タイヤイ族の中には、タイ🇹🇭のIDカードを持っている者もいる。
ビック、バンクの双子とナンモーの3人は、タイヤイ族で、決して、タイ国内では富裕層ではない。
拳一つで、と言うメンタリティが残っている可能性がある。
そんな彼らと稽古を始めて、1週間。
彼らの良い面も悪い面も見えて来た。
良い面は、バランス。
今まで見て来た選手よりバランスは良い。だから、他のスポーツをしてもある程度は出来るだろう。
ダメな点は、集中力がない。
子供だから、しょうがないで済ますのは簡単なんだけど、やっているのはムエタイ。
しかも、試合に出ようと考えている子達。
試合では、一瞬の気の緩みが勝敗をわける、と言うか、集中力のない者は、そもそもリングに上がっていないだろう。
その集中力を付けるのにもってこいのトレーニングが、かつて、ボクシングでPFPで1位だったウクライナ🇺🇦のロマチェンコが取り入れていて、一躍有名になったタップボールである。
ビック
バンク
ナッモー
韓国では、ダイエット目的の女性の間でヒットしているようである。
案の定、タップボールを3人にやらせてみたら、散々な出来だった。
タップボールは、面白い。
3人の中での集中力の差が形となって顕れた。
1週間の間、一番自分に怒られたのは、ナンモー。
ナンモーには、
「帰れ!ボケ!」と、日本🇯🇵なら暴言と言われる言葉を、自分は、日本語でそのまま言った事がある。
昨日も、ランニングの後に、関係のない友達をジムに入れて、マットにヘタリ込んで話をしていたので、その友達に、
「出て行け!」とやった。
その子は、ビックリして一目散に逃走。
そして、3人に、
「ムエタイでも、勉強でも、仕事でも、集中力のある人間が成功する。それが、何だあれは。試合の時、リングに友達を上げて話をするのか?本当の友達なら、練習中、話しかけてはいけない。本当に練習に集中している者は、友達が話しかけても相手にしない。」
試合で大切なのは、闘うハート。
練習で大切なのは、集中力と我慢。
と、言ってからのタップボールだった。
練習を始めて1週間。
まだ、多くを期待してはいけないが、練習に対するプロとしての基本的姿勢は最初に叩き込んでおかないといけない。
でないと、
リングに上がってからでは遅くなる。
だから叱る。
試合に出るのも自己責任、負けて、怪我をしたり、亡くなったりしても自己責任、と令和のAI脳は無機質に言うかもしれないが、自分のは、ちょっと違う。
憎たらしくて叱るのではない。
勝たせてやりたいから。大怪我しました、と、家に帰せないから。
今、叱ってやらないと、いつ叱るのか。
それが、昭和の優しさであり、それが、この子達には、通じると信じている。
会長に、ちょっと怒ったら、見に来てた奴逃げて行ったで、と言うと、
「あんた、子供やねんから、優しくしたり、その子、怖がって来ないで、練習生にも、練習に集中しないと、試合では危ない、と、優しく話をしたり。」と、言うので、
「少々、怖がられた方が、ええと思うで、練習に集中しないと、試合では大変になる、と言う事は、何度も言った上でのこれやから。」
通いの弟子達の今後は、どうなるか?
8月、果たしてデビュー戦が出来るかどうか?
これからの彼らの成長が楽しみである。