今日、久しぶりに、チェンマイ名物カオソーイの店に行った。
自分にとってのカオソーイはココ、と言う位、馴染みの店で馴染みの味。
猿岩石が有名になった番組『電波少年』の後番組で『雷波少年』と言うのがあった。
その番組の企画で、売れない芸人が、イタリアを出発して、ユーラシア大陸を横断しながら、その土地の麺料理を学び、究極の麺料理を作る、と言う『麺ロードの旅』と言うのがあった。
その番組で、チェンマイ名物カオソーイの店として、ロケ地になった店。
自分も、その番組のロケに参加して、芸人と渡り合った。
もう、30年近く来ている店。
最初は、田舎から出て来たおばさん始めた店だったけど、スープの味が濃厚で、たちまち人気店になり、当時の総理大臣や芸能人なんかも食べに来ていた店。
先代のお母さんが引退して、次の世代が受け継いだけど、相変わらずの人気店だった。
が、
久しぶりに行ったんだけど、いつもより明らかに客が少ない。
11時過ぎだったので、お昼の時間にはまだ早いからだろう。
カオソーイ ムー、豚肉のカオソーイ。こんな感じで運ばれてくる。
ココナッツミルクとおそらくナッツを隠し味にしたスープ。
漬物、玉ねぎを入れて、ライムを絞って入れる。
ここまでは、何十年も続けて来た作業だった。
だが、ほとんどそのまま残した。
会長が一言、
「ザマミ。」
リス語で、不味い。
自分は、日本語で、
「不味い。」
スープは、OK。でも、麺が、、、。
どうやったら、こんな不味い麺になるんだろ。
日系企業の駐在員らしき人達が、運転手に連れられて店に来た。
どうも初めて来たような様子。
「やめとき。カオソーイの美味い店と言われて来たかも知れへんけど、今日はやめとき。こんな不味いカオソーイはないで!」と、言いそうになったのを堪えた。
周りを見渡す。隣の席に座っているタイ人の男性二人の様子を見た。
不味いやろ、不味いやんな、絶対不味い、と、彼らが、何や今日のカオソーイ、と言うのを待ったが、彼らは何も言わない。
俺らのだけ不味いん?
会長の麺をもらって味見。
やっぱり不味い。
経営者が変わったんかな?
従業員も知らない顔が多いし、やる気を感じない。
自分は、カオソーイにほとんど手をつけずに、お金を払った。
ほとんど食べてない自分の器を見ても、従業員は、何も感じていない。
キャッシャーには、昔からの店員。
彼も、自分が、ほとんど手をつけなかったカオソーイの器を見てないようだった。
「この店は、あかんな。暫く来んとこ。」
会長は、自分が店員を捕まえて、文句を言うのではないか、とヒヤヒヤしていたそうだ。
「どうやって作ったら、あんな不味い麺になるんやろ。」
自分は、逆に、それが気になった。
湯がいてから時間が経っているのか、それとも、元々の製麺所で間違いがあって、違う小麦粉を使ったのか?
会長には、
「昔、日本🇯🇵の奈良で、美味しいと評判の豚骨ラーメン屋さんに行った。でも、その時、自分は、体調が良くなくて、濃厚な豚骨スープが飲めずに残した。お金を払って、駐車場に止めて置いた車に乗ろうとすると、店の人が追いかけて来て、『すみませんでした。何故、スープを残されたのですか?どこが悪かったのですか?勉強し直しますので、ダメな所を教えて下さい。』と、言われた事がある。」と、言った。
今日のカオソーイ屋は、有名店になっているので、何もしなくても客は来る、と思っていて、支払われたお金は見ても、客を見ていない。今日のような麺をこれからも出していたら潰れるで。
怒るよりも、悲しくなった。
自分の好きな味、好きな店だったのに。
その後、食べてない自分の為に会長が、他の店に行ったら、と言ってくれた。
行きつけのカフェに行ったが、今日はコックが来てないから、と断られた。
湖の中華料理店にも行ったが、そこも、コックが休みで料理が出さない、と言われた。
こんな日もある。
しょうがないので、家の近くに最近出来たベトナム料理店に。
店に入ると、高級そうな雰囲気と、お金持ち風のお客さんでいっぱいだった。
メニューを見たら、そこそこの値段。
ベトナム料理にしては、ちょっと値段が高い。
自分は、ベトナム庶民の味のバケットサンドとベトナムコーヒーを頼んだ。
会長は、アイスクリームバーガー🍨である。
普段、コーヒーを飲まない会長が、ベトナムコーヒーの味見をした後、美味しい、と言って、自分から取り上げた。
ベトナムコーヒーは、コーヒー豆は、アラビカ種よりロブスター種を使っている所が多く、甘い練乳をかけて飲むコーヒーである。
ベトナムは、コーヒーの輸出が多いんだけど、その多くは、インスタントコーヒー用のロブスター種てある。
つまり、アラビカ種より安い豆と言う事である。
質がアラビカ種よりよくないので、練乳を入れたりして甘くして飲む。
それを会長が気に入った。
自分は、
「このコーヒーの味、カフェボーランやん。」と言うと、会長は、
「そうや、昔のコーヒーの味や。」と言って喜んだ。
飲み物を取り上げられた自分は、ベトナムコーヒーを再び注文せずに、ジャスミン茶を注文した。
急須は、頑丈なんたけど重かった。
味の方は、これがいけた。
花の香りが良くて、普段、お茶を飲まない会長が、これまた、美味しい、と言った。
カオソーイの麺が不味かったお陰で、美味しいのを食べれた、と会長は喜んでいた。