「先日見ていただいた左の僧帽筋あたりの痛みは取れたのですが、鏡で見た時にその部分だけ筋肉が落ちたと言うか、左右でバランスが悪い感じになってまして 筋肉のバランスを整えていただくことって可能ですか?」
フィジークの大会参加をひかえた方からLINEが届きました
約1か月前の5月12日に左首の痛みを主訴として来院
患部として想定した左肩甲挙筋の緊張で痛みは改善
しかし帰宅する頃には痛みが戻ってしまう
翌日には患者さまの自覚として左僧帽筋を動かすと痛い状況
5月14日に自分の施術内容と経過を考えて左肩甲骨を下方に引っぱる張力に対してアプローチ
筋肉を肥大させるトレーニングを日常的に行っているため一般人とは異なる部位に緊張が残っていたわけです
さて今回は冒頭のように〈筋肉のバランスを整える〉というリクエスト
文章だけの情報で想定したのは2つ
①頸椎ヘルニア等が本当の原因で筋委縮が起きている
この場合は健側と比較して明確に筋力低下がある
②前回の施術で左僧帽筋と周囲の筋肉とで連携・協調が上達
効率よく使えることでトレーニングの負荷が右より軽減された
この場合は動きを観察することで判別
実際に来院されて話を聞くと①②のどちらでもないようです
姿勢を確認すると左半身に歪みがあることで胸郭の左半分が緊張
首から肩にかけてのカーブを後ろから観察すると右はなだらかですが左はいわゆるいかり肩
左僧帽筋が緊張していることで首から肩のカーブが直角に近い曲線です
アプローチしたのは左側の大胸筋 前鋸筋 腰方形筋 広背筋 僧帽筋
鏡で確認すと胸郭左側の緊張が解消
首から肩にかけてのカーブが左右で同じようになります
次は残りの時間で全身的にバランスを整えます
私はフィジークについてはネットで検索した程度の情報しかありませんでした
そこで患者さまに教えていただきながら治療方針を組み立てます
1.腹筋の緊張を維持する
2.腰を反らせてお尻をしめる(特にバックポーズ フロントポーズでは腰を丸めることもある)
3.胸を広くみせる
4.両肩とヘソ辺りの三角を意識
5.重心を軸脚に9割で反対の脚に1割のポージングがある
私の知識が十分ではないので体系的に質問ができない状況
思いついたことに応えていただく一問一答的なやりとりです
そのなかで気になったのは1と2
腹筋の緊張と聞いて私がイメージしたのはクラシックバレエのタックイン(骨盤後傾)
腹筋(腹横筋)の緊張と四肢のアンデオールが組み合わさることで自然体より細く強い中心軸を生み出します
しかし2ではタックインとは反対の姿勢
そもそも腹筋を緊張させると呼吸が浅くなります
そのためクラシックバレエのように動きの多いカテゴリーには負担になる
その状態で四肢を外旋(アンデオール)すると緊張が軽減して胸郭を広げやすくなる
それに対して腹筋を緊張させた上に腰を反らせると骨盤底筋群の動きを阻害
自然で深い呼吸ができなくなります
それを伝えると「呼吸を浅くするのもコツの1つです」とのこと
どうやらフィジークは上半身のボディメイクに対する評価が高いことが関係しているようです