トレイルランニングが趣味の患者さま
10~20キロほど走ると右の腸骨稜に違和感がでる
いままでは右側の腰方形筋や腸骨筋を中心としたアプローチ
その場での効果はでていましたがトレーニングで疲労が蓄積すると再発
〈右脚を軸にしたときに右外腹斜筋を意識する〉といった体幹の使い方のワークも取り入れて主訴の解消を組み立て
今回は右の腸骨稜をラテラルラインの一部としてアプローチ
右腸骨稜は腹側 左腸骨稜は背側の緊張が高いことを姿勢分析やけん引で確認
両側の骨盤と肩甲骨に筋膜リリースを主とした施術で緊張を解消
腸骨稜に関しては腱紡錘を意識して筋肉が付着している骨の手応えを頼りに施術
思いのほか左腸骨稜の背面をリリースするのに苦労
結果として右の腸骨稜にあった違和感は無くなりました
しかし姿勢をみただけでわかるほど重心が下がっています
私が「動きにくくないですか?」と尋ねると
「なんだか『ズンッ』って感じです(笑)」と患者さまは苦笑い
足踏みをして現状を確認していただくと「すごく脚が上げにくいです(笑)」
何が起こっているかと対処法はすぐ頭に浮かびます
体幹の緊張=張力を解消したことで下半身の張力が相対的に増大
重心が不自然なくらい下がってしまってわけです
当然ですが対処法は〈下半身の筋緊張などを解消して張力を下げる〉です
うつ伏せでハムストリングスと下腿三頭筋といった抗重力筋
側臥位で大殿筋 中殿筋 大腿筋膜張筋 腸脛靭帯
背臥位で大腿四頭筋 内転筋群
それぞれに筋膜リリースをはじめとした手技療法や鍼治療で緊張を解消
立ち上がっていただくと重心が上がっていることが感じられます
私が「足踏みしてみるとどうですか?」と尋ねると
「さっきと全然違いますね! スッと足があがります(笑)」と嬉しそうにされています
これは人体がパーツの連結による圧縮構造ではなくテンセグリティで成り立っていることで説明可能
どこかの張力が変化すると全体に影響がでます
その理論をもとに頸部(斜角筋 胸鎖乳突筋 肩甲挙筋 頭板状筋など)にも施術
状態を確認していただくと「…すっきりしました なんだか身体が軽くなった感じ!」という嬉しいフィードバックです