私は初回の診療に時間がかかります。
施術を始めるまでに30分経つことがほとんどで、難しいケースだと1時間かかることも少なくありません。
本日の患者さまは施術まで30分くらいでした。
予診票から40代後半の男性で飲食業。
主訴は首・肩・腰・ひざ。
発症はかなり前(十数年前から)。
ご紹介で都内からの来院。
これだけの情報でも確認したくなることは無数にあります。
まずは主訴の優先順位。
ぎっくり腰を繰り替えしているので腰が筆頭。
膝もサポーター無しでは仕事にならない状態。
首・肩は 痛み止めを服用しながら働いている。
年齢から内臓疾患をはじめとする病気の影響や、眼精疲労・老眼が肩こりなどに与える影響の自覚。
飲食業なら、接客と調理で負担のかかるポイントは変わりますし、和食・洋食・中華というジャンルでも細かい点が異なります。
和食の接客ならお座敷へ上がったり下りたり、格式が高ければ正座が日常動作になります。
洋食の接客なら革靴で固いフロアを小走りに動き回るでしょう。
洋食でホテルの調理場なら調理で扱う食材は大量、個人店なら多様なメニューを速度重視で調理。
今回は和食の板前さんだったので接客と調理の要素。
立ちっぱなしで、足元は冷え、会話もしながら、調理の姿勢も鑑賞される仕事。
主訴を[首・肩・腰・ひざ]と簡素に記入してあることから、いくつかのパターンを想像。
①ご自分の主訴を細かく考えていない。
②施術で楽になることを期待していない。
③文章よりも言葉で伝えることが得意
④疲れていて細かく書く気力がない
①と③は保留。
②は可能性あり。
④は筆圧や字の印象から消去。
確認のためと、情報収集の意図で質問。
「いままで受けて、『これは効いた!』という治療はありますか?」
結果は無し。
なにか効果を感じた治療法があればヒントになるのですが、「ほとんどはその場かぎりで、楽になった記憶はないです」という答え。
ここまでで15分。
さらに症状を詳しく確認。
痛みの強さ、痺れをともなうか、症状が悪化する条件(細かい作業の後など)寝ると回復するか悪化するか・・・
主訴を意識し始めた頃の状況。
それらの想像と裏付けをしてから姿勢や歩行の分析。
これくらい細かく確認しても、実際に施術を始めてから気が付くことは少なくありません。