友人との旅行帰り、大きな荷物を幾つも持って私は列車に揺られていた。座席に備え付けられた電話に手を伸ばすと、もうすぐ到着する旨を伝えようと自宅の番号を押す。

するとワンコール鳴るか鳴らないかのうちにすぐに繋がり、その電話の相手が祖母だった。

弱々しい声で「少し疲れたでね。横になって待ってるでね」と、そう言った。

私は祖母が出た事に驚いて受話器を指差しながら一緒に居た友人に声には出さずに口の動きで“おばあちゃん”と伝えた。友人も驚いた顔をして受話器に耳を当てたが、いつの間にか電話は切れていた。

ディスプレイで発信履歴を確認すると自宅の番号に似ていたが少し違った。後で帰って母に話そうと、その番号を写真に収めようとしたがそんな時に限ってスマホがうまく操作できない。

電車は駅に到着し、大きな荷物を持った友人たちが出口で「行くよー」と声を掛けてくる。焦れば焦るほどうまくいかず、結局後の席に偶然座っていた知り合いが番号を控えて後で送ってくれると言うので頼んで電車を降りた。

 

錆びたフェンスを横切り、細い裏道を通ると、風に揺られる金の穂から秋のいい香りがした。遠くの畑に母の姿が小さく見える。そして駆け寄って行った私は驚いた。

祖母が庭に丸テーブルと椅子を置いてお茶していた。

「来ただね」そんなような事を言った気がする。

まさか祖母がそこに居るとは思わなかったので、息を切らせて飛んで帰ってこなかったことを後悔した。

私は思わず飛びついて「遅くなってごめんね」と言った。

畑から出てきた母が、私と祖母が一緒に居るのを見て、

「なんだ。知ってたの」と言うからこの不思議な現象を、どうして?という顔で見たら、

「二十二日だから、帰ってきてるの」という答えが返ってきた。

今思えば意味が分からないが、その時は「お盆だから」というようなニュアンスで受け取った。

祖母を想って観たアニメ映画が浮かんだ。

「リメンバーミーみたいなもの?」

と聞いたら微笑んでいたのできっとそうなんだと思う。

抱きしめた祖母は電話口の時とは違って元気そのもので顔色も良く、穏やかな顔で笑っていた。