見覚えのある道を通っていた。後部座席の窓からは、黄色くなった銀杏の葉がひらひらと舞い、大通りに絨毯を作っているのが見える。
道路脇に二台の車が停められており、白いバンの後ろに水色のビートルが隠れていた。その光景だけがこの街に馴染んでいないような気がした。
しばらくして、水色のビートルは爆発した。
私は、そうなることを知っていた。
祖母の家に身を寄せると、これからのことを考えた。
ビートルの中には明日時効を迎える男が乗っていたのだ。裁判になるだろう。少なくとも五年は塀の中、いや十年か。新聞に私の名前が載るだろうか。載るに違いない。新聞に掲載された白黒の自分の顔写真を想像して、「祖母を悲しませることになってしまった」と胸が痛んだ。
夫は今日のことを予知していたのか、数カ月前に籍を抜いていた。新しい彼女もできたと誰かから聞いた。刑を全うしても私のことを待っていてくれる人が果たしているだろうか、と考えた。前科のある自分を受け入れ、必要としてくれる人は見つかるだろうか。
出所後の人生に思いをはせながら、私はい草の香りの残らぬ色褪せた畳の上で、縁側から差し込む夕陽を浴びていた。
そもそも私の罪名は何なのだろうか。あの小さなビートルが爆発することを知っていただけなのに。
明日から、番号で呼ばれる 長い日々が始まる。